(12日、第106回全国高校野球選手権京都大会2回戦 宮津天橋7―6西舞鶴)

 西舞鶴の先発、仲川雄河さん(3年)は八回まで132球を投げてきた。特に疲れを感じていなかったという。

 九回表、仲間が1点を勝ち越してくれた。勝利がぐっと近づいたはずだった。

 だが、その裏、先頭打者の初球のスライダーが指に引っかかった。曲がりすぎた。死球。続いて迎えたのは、警戒していた打者のひとり、藤原諒耶さん(同)だ。

 宮津天橋とは新チームになってから3度、練習試合をしてきた。手の内はわかっている。

 1ボール1ストライクからの3球目。スライダーを左翼席まで運ばれた。サヨナラの逆転2点本塁打。

 捕手の網干周馬さん(同)はフライを打たせるか、見逃させるつもりで要求したスライダーだった。打った藤原さんは「完璧」と振り返った。

 だが、仲川さんは「失投ではない」と言い切った。「1点勝ち越してくれた仲間に申し訳ない」

 新谷俊行監督は「たとえ100点取られても、最後まで仲川でいくつもりだった。納得ではないが、信用していたので、彼で負けるのなら……」と言葉をのみ込んだ。(滝川直広)

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