第106回全国高校野球選手権山形大会は12日、45校41チームが参加して開幕する。3年ぶりに単独チームで臨む北村山の野球部員4人は、出場を決断してくれた級友への感謝を胸にプレーする。

 「いきまーす」。6月半ば、尾花沢市の同校グラウンド。マネジャーが一声かけ、球をピッチングマシンに入れる。ボンという音とともに高々と上がり、外野手が捕球する。少人数でできる練習の工夫だ。

 今大会に臨む選手11人のうち野球部は4人。ほかの7人は硬式テニス部やハンドボール部の生徒たちだ。

 今年3月、野球部員たちが甲子園で選抜大会を観戦し、関東の高校と合同練習をした帰りの列車。阿部佳弥監督(33)は「夏は単独か、連合かどちらで出るか」と問いかけた。

 昨年、一昨年は4校連合で出場した。「単独で出たい」。佐藤希琉主将(3年)は率直な思いを伝えた。

 北村山は全校生徒77人、うち男子40人。監督や部員で勧誘に回り、7人が協力を申し出てくれた。7人は本来の部活動や学業に支障のない範囲で練習してきた。

 硬式テニス部だった樋渡聖(ひじり)さん(3年)は佐藤主将と仲が良く、「野球は子どものころから遊びでしていたんです。3年の野球部員を笑顔で送ってあげたい。野球、難しいけど楽しいです」と笑顔を見せる。

 「連合チームで多くを学び、いまは日々成長する仲間の姿を見るのがうれしい」と佐藤主将。「多くの人に支えられてここまで来ることができた。最後の夏、思いっきり楽しみます」(坂田達郎)

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 山形大会の開会式前日の11日、会場のヤマリョースタジアム山形(中山町)で、山形工業高校の生徒7人が入場行進の目印をつける作業をした。

 ホームベースの位置に測量機器を設置し、レーザーで角度や距離を測定。「3ミリ前に」「オッケー!」などと声を掛け合い、球児たちがきれいに並んだり前進したりできるよう、ミリ単位で目印を調整した。

 1年の鈴木輝有さん(16)は「自分たちが測量したグラウンドで、選手の行進を見るのが楽しみ」と話していた。(坂田達郎)

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