(11日、第106回全国高校野球選手権千葉大会2回戦、白井0―10流通経大柏=5回コールド)

 二回裏に一挙5点を取られたが諦めなかった。

 選手が2年生と1年生だけの白井。続く三回表の攻撃で、2死から連打を放った。ランニング本塁打など5本の長短打を浴びた1年生投手の斎藤裕斗が「打てるかもしれない」と次打者席に向かう。チーム唯一の3年で、マネジャーの星屋結愛さんが「頑張って」と背中を押した。

 「正直、この試合は勝てると思える相手じゃなくて、ヒットも打てないんじゃないかと思っていた」

 4月に新入生が入るまで、星屋さんを含めマネジャー2人と主将の林恭正(2年)の3人だけだった。「最後の夏は単独でという思いがあった。諦めかけていたので、本当にうれしかった」

 2学年上の兄と一緒に部活動をしたいと入部。父も元球児。祖父も審判をしていて、小さいころから野球が好きだった。小学1年から千葉ロッテマリーンズのチアダンススクールに通い、プロの試合も間近で見ている。

 しかし、2年に上がると唯一の同学年がやめた。単独出場がかなわないと思い、退部を考えた。「支え合える友達がいなくて、誰に相談したらいいのとか、正直分からなかった」

 そんな時、支えてくれたのが家族だった。母は「ここまで続けたなら最後までやれば」。兄は「俺もいるし、みんなもいるし、やめたかったらやめていい。俺は応援する」。この日も、星屋さんの最後の夏を見届けようと、家族で球場に来て、声をからした。

 「家族や先輩がいたから3年間続けることができた。結果は負けたけど、いい思い出になった」。涙をぬぐいながら、最後は笑顔で答えた。=県(杉江隼、芹沢みなほ)

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