(11日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会2回戦 多摩0―10桐蔭学園)

 「せーの、いいね」。ナイスプレーの度に、ベンチメンバーがはじける笑顔で一斉に手を上げる。「常時全笑」は部員で考えたスローガンだ。

 部員で野球を「研究」し、日本野球学会でポスター発表を行ったこともある。二死二塁からヒット1本で生還する確率を上げるため、走塁を研究し、三塁ベースを速く回る法則を見いだした。

 6点を追う五回表、二死二塁。冨永直暉(3年)は二塁からベンチに向かって一本指を上げ、「まだまだいくぞ」と自分に言い聞かせた。

 研究で導き出したホームまでの最短距離を思い返しながら、二塁から走り出す。全力で滑り込んだ。結果は惜しくもアウト。でも「自分のベストを出した」。

 桐蔭学園を相手に、0―10の6回コールド負け。試合後、「3年間幸せでした」と語る笑顔が徐々に悔し涙に変わっていった。「悔しいです。後輩はもっと強い高校に勝って、めいっぱい笑ってほしい」(稲葉有紗)

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