(10日、第106回全国高校野球選手権兵庫大会2回戦 東灘―市尼崎)

 市尼崎の椎江博監督(62)は、同校で3年目の夏を迎える。

 2000年に尽誠学園(香川)の監督に就き、春夏計5回の甲子園を経験した。このうち3回は8強まで進出している。

 大阪学院大の監督を20年夏で退いた後は野球の指導から離れ、教員をしていた。

 22年2月、尼崎市教育委員会から市尼崎の監督就任を打診された。当初は「自分は兵庫県の人ではないから」と断った。しかし「心の奥底に、もう一度、高校野球の監督をやりたい」という気持ちが残っていたと振り返る。市教委の担当者に説得される形で引き受けることを決めた。

 就任後、まずは主将に目標を聞いた。「兵庫大会ベスト8です」。そう言われて驚いた。「目標は高く設定しないといけない。その考えは捨てよう。優勝旗を持ち帰ることを合言葉にしよう」と説いた。

 練習メニューは基本的に、選手たちが話し合って決める。「選手自身がチームの課題を考えることで、責任感を持たせることができる。練習をやらされるのではなく、主体的に自覚を持って取り組むようになる」と椎江監督は言う。

 中村修也主将(3年)は「練習メニューを自分たちが最終的に決めることで、課題をしっかりと意識して練習ができる」と話す。

 22年夏は5回戦まで勝ち上がった。昨夏は3回戦で敗退し、悔しい思いをした。椎江監督は、兵庫の高校野球について「好投手が多くて守備が堅い。公立でも強豪校が多い」という。

 3年目の夏に向けて「新チームができたときはバラバラだったけど、ようやくまとまってきた。相手がどこでも自分たちの野球をするだけ。泥臭く食らいついていきたい」と語った。(森直由)

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