(9日、第106回全国高校野球選手権東東京大会2回戦 江戸川7―6大森)

 江戸川に一点差で敗れた大森の左翼を守っていたのは、高校から野球を始めた吉田一翔(3年)だ。緊迫した試合展開だったが、「こっちに来い。なんでも捕ってやる」と強気だった。三本の左飛を無失策でさばき、高校生活最後の試合を終えた。

 父はプロボクサーでフライ級日本王者だった健司さん(47)。健司さんは、吉田が小学生の時、キャッチボールを誘ったが断られたという。ただ、ボクシングにもあまり関心はなかった。小学生の時はサッカー、中学生の時はダンスに熱中した。

 それが突然、高校で野球部に入った。「スマホの野球ゲームと漫画の影響で野球をしたくなった」と言う。

 最初は、「フライを捕れない。送球は塁間も届かなかった」(主将の北林優翔)が、人一倍練習した。この夏、背番号7をつかみ、この日先発出場を果たした。

 今年初めて試合を観戦したという健司さんは「勝てるかもと興奮した」と話し、活躍をねぎらった。試合後の取材、吉田に「次、父にキャッチボールを誘われたらどうするか」と聞くと、「また、断ります」と笑った。卒業後は、父の指導のもとボクシングを始めようと考えているという。=江戸川(中村英一郎)

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