(7日、プロ野球 福岡ソフトバンクホークス5―3東北楽天ゴールデンイーグルス)

 1点を追う八回2死満塁でソフトバンクの柳町達は代打を告げられた。

 「いつでもいける準備はできていた」。1ボール、2ストライクと追い込まれたが、「切り替えて、どんな球でも食らいつこうと思った」。

 4球目。内角低めの直球を振り抜く。低い弾道が右翼線へ。「ファウルになるかと。頼む。残ってくれ」。願いを込めた打球は走者一掃の逆転適時三塁打になった。

 4年目の昨季は自己最多の116試合に出場。今季こそレギュラーをと奮い立った。とはいえ、近藤健介、柳田悠岐、周東佑京らがひしめく外野陣は層が厚い。今季の開幕は2軍で迎えた。

 2軍で一時は4割を超える打率を残しても1軍に呼ばれない。そのうち成績は下降気味に。それでも、めげなかった。「踏ん張った。自分自身との戦いだった」と振り返る。

 セ・パ交流戦が始まった5月28日にようやく1軍に昇格。交流戦では打率3割5分1厘と活躍し、けがで長期離脱した柳田の「穴」を埋めた。

 この日は今季初の4連敗がチラついたチームを救う一振り。これで得点圏打率は4割4分4厘になった。「(先発でも代打でも)どんな場面でもいくしかない。準備はしている」。そう、自らの居場所は自らでつくるしかない。(鷹見正之)

 小久保監督(ソ) 柳町について、「あの一振りで勝った。連敗中のあの場面でなかなか打てないですよ。本当に素晴らしい」。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。