先月30日、インドネシアで開催されていた「アジアジュニア選手権」で、中国の17歳の男子選手が日本の選手との試合中に突然倒れ、病院に搬送されましたが、心不全で死亡しました。
選手が倒れた直後に、その場で「胸骨圧迫」=いわゆる心臓マッサージやAEDの使用が行われておらず、今回の事案を受けて日本バドミントン協会は、全国の加盟団体に対し、迅速な救命処置を行える環境を整えるよう通知を出しました。
具体的には、試合会場ではAEDの設置場所や充電状態を事前に確認し、来場者にも場所を貼り紙などで知らせることや、プレー中でも異変に気付いたら人命を第一に考えて行動することなどを求めています。
また、今後については、AEDの使い方について講習会を実施していくとともに、大会の運営本部にはAEDを常備していくことも検討するとしています。
日本バドミントン協会の担当者は「大変ショックな出来事で、日本で起きないとも限らない。これから夏休みで学生スポーツも盛んになる時期なので、AEDを手にとってもらい、いざというときにはためらわず行動がとれるよう、大会運営に関わる人の意識づけを進めたい」と話しています。
日本AED財団も声明「日頃から訓練を」
AEDの普及・啓発に取り組む「日本AED財団」も「緊急メッセージ」と題する声明を今月2日に発表しています。
その中で、17歳の中国の選手が亡くなったことについて「若い、有能な選手がスポーツ現場で突然死をとげたことは痛恨の極みであり、深い哀悼の意をささげます」としたうえで、「スポーツ中の突然の心停止は決してまれではありません。しかし、しっかりと準備をして、素早くAEDを用いた救命処置を行うことができればスポーツ中の心臓突然死はゼロを目指すことができます」と表明しています。
具体的な対策としては、▽スポーツ中はAEDを用意し、選手や関係者は事前に必ず場所を確認するのを習慣化しておくこと、▽いざ目の前で人が倒れたら医者の到着を待つのではなく、一秒でも早く居合わせたコーチや選手、審判や観客らがとっさに手を貸せるよう日頃から訓練しておくことなどをあげています。
AED財団では緊急時に対応するため、スポーツ現場での危機管理対応マニュアルを作成するためのガイドラインを財団のホームページに掲載しているということです。
ガイドライン掲載 日本AED財団のホームページ
心臓の病気が専門で、AED財団の理事長を務める三田村秀雄医師は「心停止が起きてから何もしないと1分経過するごとに救命率は約10%下がるが、いち早くその場で胸骨圧迫を行い、AEDの電気ショックを行えば生存率は50%ぐらいまで上昇する。医師を待つのではなく、市民一人ひとりの動きが救命につながるので、日頃から訓練を重ねてもらいたい」と話していました。
声明『まず呼ぼう、AED』
そして声明の最後は次のように締めくくられています。
「2024年7月1日に、日本ではAEDが使えるようになってちょうど20周年を迎えました。このような不幸な出来事を繰り返さないためにも、改めて皆様に覚えていただきたい言葉があります。『まず呼ぼう、AED』」
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