(29日、第106回全国高校野球選手権福岡大会2回戦、北九州4―0玄界) 「先生と磨いたストレートで抑えたい」。六回裏、追加の3点を奪われ、なお1死二塁。玄界のエース・平田晏士(あんじ)投手(3年)は、フルカウントから思い切り腕を振った。切れのよい直球がミットに収まり、三振。続く打者も打ち取り、ピンチをしのいだ。

 中学では3番手投手で、「自信がなかった」。満足できる球が投げられない日々で、野球が嫌いになりそうだった。

 進学先の玄界では「野球をしない」。そう思っていたが、親や友人の勧めで仮入部すると、西村賢治監督とキャッチボールをすることに。球の回転は悪く、のびもない、と自分では感じたが、「投げ方がいいね」とほめられた。うれしくて、もう一度、頑張ることにした。

 球の握り方から、西村監督が教えてくれた。「体が小さくても、球威で抑えられるように」と体力作りの助言を受け、毎日の腕立て伏せなどで鍛えた。今は「直球が武器」と胸をはれる。

 5月に肩を痛め、この日は本調子からほど遠く、4失点。試合後は悔し涙をタオルでぬぐい続けた。このままでは終われない。「直球をさらに磨き、140キロを投げたい」。大学で野球を続ける、と決めている。(太田悠斗、山本達洋)

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