頂点を目指す戦いが始まった。第106回全国高校野球選手権福岡大会が29日、北九州市民球場で開幕し、5年ぶりに開会式が行われた。開幕試合では、主軸の連続長打で得点を重ねた北九州が玄界を破った。30日は4球場で計11試合と小学生による始球式が予定される。

 出場する136校135チームのうち、式には参加を希望した81校の選手が臨んだ。熱中症予防のため、1校ずつの入場行進は行わず、代わりに外野に整列した選手たちが一斉に内野へ向かって行進。東海大福岡の部員で選手のサポートを務める白石竜一さん(3年)が先導役を務め、観客が手拍子で支えた。

 あいさつでは福岡県高野連の小川昇二郎会長が「甲子園を目指して鍛錬してきた成果を発揮し、一生懸命プレーする姿を見せて」と励ました。

 式後には、高校野球に貢献した指導者に贈る「育成功労賞」の表彰があり、中間の元監督で八幡工の宮本博樹さん(62)が賞状を受け取った。(石垣明真)

司会「応援の思い込めた」 小倉放送部長・新本智規さん

 「選手入場!」「選手が一斉に前進します」。小倉の放送部長、新本智規さん(3年)のはきはきとした声が球場に響いた。

 5年ぶりの開会式で、各校のマネジャーと分担して司会役を務めた。2年時にアナウンス技術を競う全国大会に出場した経験から声がかかったという。「自分も8月に最後の大会を控えている。同じ立場の選手を応援したい」との思いを込めたという新本さん。大役を終えた後、「後悔がないように頑張ってほしい」と選手たちにエールを送った。(石垣明真)

「笑顔と感動を送る」選手宣誓 星琳・小山琥太郎主将

 選手宣誓は星琳の小山琥太郎主将(3年)が務めた。「新型コロナや災害を経験し、野球ができること、仲間と笑いあえること、当たり前の出来事に感謝できるようになった」とこの数年を振り返った後、「夢の舞台、甲子園をかけた戦いが始まる。当たり前ではない一投一打をかみしめながら、全力で思いを込め、仲間を信じ、支えてくれた方々に笑顔と感動を送る恩返しをしたい」と決意を述べた。

 宣誓の途中、マイクの不調で動揺しかけたが、観客席に座る兄・貫太さん(19)の笑顔が目にとまった。小中高と同じチームでプレーし、背中を追ってきた存在。落ち着きを取り戻し、「全身全霊でプレーし、熱い最高の夏にすることを誓います」と締めくくった。(山本達洋)

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