女子の決勝戦で優勝し、インタビューに答える法大の水川=東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで2024年6月29日、新宮巳美撮影

第58回全日本女子学生剣道選手権(29日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)

 優勝候補と目されてもきっちり受けて立った。法大・水川晴奈選手は「いつも通り」を貫き通し、「全日本女王」の座を2年ぶりに奪い返した。

 準決勝を3度の延長の末に制して迎えた決勝戦。相手は情報の少ない中大・池田胡春選手だった。2年生ながら初の決勝に勝ち上がって勢いに乗っていたが、水川選手に焦りはない。じっと攻撃の機会を待ち続けた。

 ハイライトは延長に入って2分が過ぎた頃だ。竹刀のつばで受け止めて押し合う「つばぜり合い」から崩れた際のわずかなすきを逃さず、最後は得意のメンで勝負を決めた。「引き技の警戒はしていたが崩された」とは池田選手の敗戦弁。水川選手は「得意なのでどこかでは出したかった」としてやったりの表情だった。

筑波大の岩原(左)を攻める法大の水川=東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで2024年6月29日、新宮巳美撮影

 1回戦から決勝まで7試合のうち、4試合が延長を制したものだ。2年時には15年ぶりとなる史上5人目の2連覇を達成。最終学年の今年は7月にイタリアで行われる世界選手権の日本代表に大学生で選ばれた逸材だ。学生の中で抜きんでた存在だけに相手の守りが堅くなるのは必然だった。

 「簡単な相手はいない。苦手な部分を突かれていると感じた」と言う。それでも「自分の試合をするだけ」と勝負の機会を冷静に狙い続けた先に頂点が待っていた。

 試合後はイタリアに移動するため、すぐに会場を後にした。「世界大会に選ばれたことを自信に変えて戦うことができました」。史上最多3度目となる学生日本一の偉業を成し遂げ、堂々と世界の舞台に向かう。【牧野大輔】

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