(22日、第106回全国高校野球選手権北北海道大会釧根地区Aブロック1回戦 釧路湖陵4-3釧路北陽)

 九回2死一塁。釧路北陽の打線は1点差に猛追し、先発登板した背番号1に打席を回した。

 登(のぼり)遼真(りょうま)投手(3年)。年明けに球威を増そうと取り組んでいたウェートトレーニング中、腰を痛めた。2カ月間、投球練習が出来なかった。腰をかばったせいなのか、ひじも痛めた。

 現状のベストな投球フォームを探り、大会直前に間に合わせ、夏の初戦を迎えた。

 序盤は直球主体で、中盤から変化球を増やし、連打を許さなかった。辻堂雅之監督は本来の実力からすれば、「決して本調子ではない」と見た。

 でも本人は「今までで一番いい」と感じていた。九回に追加点を奪われると、グラブをたたいて悔しがった。丁寧にコースを投げわけ、2番手にマウンドを譲るまでの93球に思いを込めた。

 最後の打席は思わず力んだ。芯を外された打球が投前に。ベースは遠かった。「みんなは自分を頼りにしてきたというが、チームを頼ったのは自分だった。応えられず申し訳ない」と目をはらした。

 仲間の評価は違う。向井琥主将は「最後を遼真に託せた」とエースの力投をたたえた。(古源盛一)

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