朝日放送テレビ「甲子園への道」でキャスターを務める福戸あやアナウンサーは高校時代、阪神甲子園球場の土を踏んだことがある。兵庫県立小野高3年生のとき、第99回全国選手権大会の開会式で司会進行を担った。

 「とにかく緊張したこと、そして『ただいまから……』という最初の発声で球場の空気が変わったことを覚えています。選手や周りの方々にとってはやっとたどり着けた晴れの舞台だから、台無しにしてはいけないという一心でした」

 夢をかなえた同世代が目の前を誇らしげな表情で行進していた。自身もこの舞台に立つため、準備を重ねた。

 「球場内は反響がすごいから早口になると何を言っているか分からない。お風呂場や学校の階段の踊り場といった、反響が大きな場所で、ゆっくり発声する練習をしました」

 自身も「甲子園で司会」が大きな目標だった。幼い頃から春夏はテレビの高校野球中継に釘付けだった。中学2年生だった2013年8月。第95回大会開会式の司会を小野の生徒が務めたのを画面越しに見た。

 「甲子園大会の始まりを告げる役割のかっこよさにあこがれました」

 自分も甲子園に行きたい。放送部がコンクール上位の常連で、進学校でもある小野を志して勉強に励み合格。入学式を終えるやいなや入部した。

 仕事を決めるときも同じだった。高校野球に関わりたい。その思いが通じ、夏の甲子園のテレビとラジオの中継局である朝日放送でアナウンサーに。

 「これまで通り楽しみや感動をもらいつつ、もっと選手や周りの人が歩んできた過程、ドラマにスポットライトをあてたい。頑張っている人を応援したいというのはより明確になりました。高校野球に限らず、夢に向かって挑戦している人に話を聞き、伝える。そんなアナウンサーになりたいと思っています」

 100年の歴史を刻む甲子園球場とはどんな存在なのか。

 「一番、心が熱くなる場所。兵庫県出身なのでもともと身近な球場だし、両親ぐらいの世代の方とも共通の思い出があるくらい歴史が長い。ふるさとの自慢です」(岡田健)

 ふくと・あや 1999年生まれ、兵庫県西脇市出身。2022年、朝日放送テレビに入社。朝の情報番組「おはよう朝日です」などを担当。全国高校野球選手権地方大会のダイジェスト番組「甲子園への道」(今夏は7月23日放送開始)のキャスターを3年連続で務める。

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