パリオリンピックの開会式が行われる7月26日まで、17日で100日です。
100年ぶりにフランスの首都・パリで開催される大会では、32競技の合わせて329種目におよそ1万人の選手が参加する見込みです。
日本選手は、去年6月にサーフィン女子の松田詩野選手が最初に代表に内定して以降、NHKのまとめで、これまでにおよそ100人がパリオリンピックの切符をつかんでいます。
注目の1つが10代の若手の台頭で、このうち競泳では、17歳の成田実生選手や18歳の松下知之選手などが先月の代表選考の大会で代表に内定しました。
また、卓球の女子では、15歳の張本美和選手が実力と将来性をかわれ、団体のメンバーとして選ばれました。
このほか、ともに17歳の飛び込み・玉井陸斗選手やスポーツクライミング・安楽宙斗選手といったメダル獲得の可能性がある若手もいて、パリ大会やその先のロサンゼルス大会も見据えた活躍に期待が寄せられています。
また団体では、これまでに東京大会で銀メダルを獲得したバスケットボール女子や2008年の北京大会以来、4大会ぶりに自力で出場権を獲得したバレーボール男子などが出場を決めています。
代表選手の選考は、このあと体操や陸上、スケートボードなどの競技で佳境を迎え、東京大会で過去最多の58個のメダルを獲得した日本代表は、若手の活躍でさらなる飛躍ができるか注目されます。
卓球 張本美和「2人の先輩とともに頂点を」
この春、中学校を卒業し、15歳で卓球・女子の団体のメンバーとして代表に選ばれた張本美和選手は初めてのオリンピックに向けて「自分の夢の舞台だし、緊張はもちろんするが初めてなので、まずは自分のできることを精いっぱいだして、オリンピックまで死ぬ気で練習したい」と強い意気込みを示しています。
そのうえで、早田ひな選手、平野美宇選手とともに出場する団体について「自分は年齢が一番下だし、先輩方2人がすごく強いので、私は自分ができることをしたいなと思うし、ダブルスは自分の中では結構得意で好きな方なので、活躍したいというよりは本当にチームのために頑張りたいと思う」と話しました。
そしてパリ大会の目標について「いろんな選手の対策など本当にやることがたくさんあるが、まずはけがをせず体調にしっかり気をつけて、元気で過ごして金メダルを目指して頑張りたい」と話し、2人の先輩とともに頂点をねらっています。
競泳 成田実生「決勝にしっかり残るということ」
競泳の17歳、成田実生選手は先月行われたパリオリンピックの代表選考の大会で、女子400メートル個人メドレーで、東京オリンピック金メダリストの大橋悠依選手などを破って代表内定を決めました。
成田選手は初のオリンピックについて「すごくワクワク、ドキドキしている。まずは決勝にしっかり残るということと、決勝で自己ベストを更新してメダル争いをするのが目標だ。このパリオリンピックが私の水泳人生の中でスタートラインになるような大会にしたい」と話しました。
そのうえで「17歳だからこそ、明るく元気に、パワーがみなぎった感じでレースを泳いで、そういう面でもチームに貢献したい」と持ち前の明るさで代表チームを盛り上げたいと語りました。
そしてオリンピック本番に向け「苦手な持久力の練習を逃げずにやって、ベースをしっかり作っていきたい。目標を忘れずに、しっかり逃げずに練習に取り組んでいきたい」と、この夏までのさらなる成長を誓っています。
飛び込み 玉井陸斗「自己ベスト更新して金メダル獲得」
おととしの世界選手権で銀メダルを獲得した飛び込み男子の17歳、玉井陸斗選手は、中学3年生で出場した東京オリンピックに続き、パリ大会でも代表内定を決めています。
玉井選手は「東京大会のときは、動揺してしまった部分があったし、自分がどこまで行けるのかもあまり把握できていなかった。そこからたくさんの試合に出て経験を積んできたと思うので、今回はそれを生かして自分ができる最大限の力を発揮したい」と3年前からの成長を語りました。
去年の世界選手権で腰を痛め、その影響が懸念されることについては「休んでいる間に、フォームの確認や入水の美しさを見直した。けがをして、体の使い方やどこを強化していけばいい演技ができるのかを考え直すことができた」と前向きに振り返りました。
そのうえで「東京大会は無観客での開催で、あまりオリンピックという感じがしなかったが、パリ大会は有観客ということで、自分が見せられる最大限の演技を見せたい。自己ベストを更新して金メダル獲得を目指して頑張りたい」と意気込みを示しています。
パリ五輪 注目点と特徴は
パリオリンピックは、フランスの首都・パリを中心にことし7月26日に開会式が行われ、8月11日までの17日間の日程で開かれます。
パリでのオリンピックは1900年の第2回大会、1924年の第8回大会以来、100年ぶり3回目です。
新型コロナウイルスの影響で開催が1年延期された東京大会からは3年の間隔で迎えるパリ大会では空手と野球・ソフトボールが除外され新たにブレイキンを加えた32競技の329種目が実施されます。
およそ1万人の選手が参加し、日本勢は、柔道やレスリング、体操のほか、東京大会で注目を集めたスケートボードやスポーツクライミングなどのアーバンスポーツでもメダル獲得が期待されています。
パリ大会の組織委員会は、大会のスローガンを『ゲームズ・ワイド・オープン』=「広く開かれた大会」とし、開会式は川沿いから誰もが楽しめるようセーヌ川で行う予定です。
また、スケートボードやブレイキンなどはパリ中心部のコンコルド広場が会場となるのをはじめ、エッフェル塔やベルサイユ宮殿といった文化・観光名所が競技会場となります。
新たに建設するのは2つにとどめ、競技会場の95%は既存の施設を使うか仮設の会場を利用する計画で、徹底したコストの削減を目指しています。
また、今大会の特徴の1つが環境への配慮で、競技会場で利用する電力を再生可能エネルギーで発電したものとするほか、大会期間中は、すべての観客がパリ市内の会場を地下鉄やバスなどの公共交通機関で移動するとしています。
さらに選手村でも、電力消費を抑えるため建物にエアコンは設置されず、屋根を緑化し床下に地下水を流して室内を冷やすとしています。
巨額の開催費用や大会後の競技会場の利活用、それに環境への配慮など多くの課題を抱えるオリンピック。
今大会が一石を投じ、持続可能な大会のモデルケースとなれるか注目されます。
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