JSCAマスターズ水泳通信記録会で大会新記録を出した伊達春江さん=伊賀市佐那具のウエストスポーツクラブのプールで、大西康裕撮影

 三重県伊賀市上野桑町の伊達春江さん(80)が「第29回JSCAマスターズ水泳通信記録会」の80~84歳の自由形800メートル(男女別)で大会新記録を出して1位になった。60歳のころ、スイミングスクールに通う孫の送迎の待ち時間を利用して始めた水泳が生きがいになり、「水の中は楽しい」と続けた結果、傘寿の年に新記録をたたき出した。【大西康裕】

 伊達さんは同市佐那具のフィットネスクラブ「ウエストスポーツクラブ」の会員。同クラブも加盟する日本スイミングクラブ協会(JSCA)が1~2月の記録会を主催した。同クラブが会員の挑戦する日と決めた2月23日、伊達さんは他種目で参加する会員とともにクラブの25メートルプールで挑んだ。往復数はコーチが数える。伊達さんは15往復まではバテないようにペース配分に気をつけ「ラスト50メートルで力を振り絞る。その日も馬力が出た」と振り返る力泳を披露し、15分22秒66で泳ぎ切った。各地のクラブの参加者たちの記録が集計され、伊達さんのタイムは同じ部門にエントリーした34人中1位で大会新だった。

 伊達さんは神戸市生まれ。伊賀市では亡くなった夫が営んでいた鮮魚店を手伝っていた。近くに住み仕事のある娘2人の子どもを長年、車に乗せて同クラブ上野校(同市緑ケ丘東町)の水泳教室に送り迎えした。学校にプールがない時代に育ち、水泳と初めて縁ができた。「退屈だったし、趣味もなかったし」と勧められて水泳体験をしたら、「全身を使う。泳いでいる間は何も考えない」水泳の魅力に引き込まれた。

バタフライも得意=伊賀市佐那具のウエストスポーツクラブのプールで、大西康裕撮影

 孫がスイミングスクールを離れても自身は残り、背泳ぎ、バタフライをマスター。自由形は70歳くらいから本格的に取り組み、「平泳ぎは苦手」で現在に至っている。上野校は2022年に閉鎖され、今のプールに移っても週6日、1日2~3キロを泳ぐ。65歳くらいから出だしたねんりんピックなど高齢者の大会で活躍し、23年は九州で開催された世界マスターズ水泳選手権に出場し、自由形400メートルで7位に入った。

新記録を出した自由形は2023年より1分も速くなった=伊賀市佐那具のウエストスポーツクラブのプールで、大西康裕撮影

 伊達さんは身長148センチ、体重40キロ。コーチ歴20年以上の井上記美子さんは「水に浮く抜群のセンスがある。本当に軽やかに泳がれる」と伊達さんの泳ぎを評する。伊達さんは大会新を「1年前より約1分早くなった。びっくりしたというか、うれしい」と話す。今後について、伊達さんが「いつまでも楽しく元気よく泳げたらいい。若い人についていきます」と控えめに話すと、井上さんは「いえいえ昨日の自分の負けまいと若い人の前を泳いではります」と伊達さんの普段の様子を紹介。すると、伊達さんも「タイムを塗りかえます」と衰えない水泳熱を語るのだった。

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