「あんまりベテラン、ベテランと言われるとたまに傷つく」
9日まであった男子ゴルフの日本ツアー選手権で優勝した岩田寛は、ずっと抱えていた思いをインタビューで吐露した。
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43歳でのメジャー大会初制覇は、ツアー制施行後の日本人選手で最も遅い。この大会の最年長優勝記録も塗り替えた。ツアー通算6勝のうち4勝は40歳以降に積み上げたものだ。
20代の「ニューヒーロー」「ニューヒロイン」が話題になりやすいゴルフ界で、40代の岩田は「ベテラン」の枠にはめられていた。「テレビ中継にも映らない」
インタビューで受ける質問も、年齢にからんだものが多い。
「若手に負けないようにしていることは」「体の動きは若い時と全然違うと思うが」
ただ、岩田のプレーやゴルフへの姿勢は「年齢」を感じさせない。最終ラウンドのティーショットでは、同組の20代の選手より飛ばすこともあった。
イーブンパーの71で回った第1ラウンド後もそう。
最終18番でミスがあってボギーを打った。岩田はそのまま帰路につかず、練習場に向かった。「やらないといけない」と、悩み続けたショットの腕の振りを見直し、第2ラウンドからスコアを伸ばした。
最終ラウンドで、石川遼が猛追してきたときも、「やらないといけないことをやるだけだった」「苦しかった。でも、それ(修正したこと)ができれば良い球が出ると分かった」。
どんな状況でも課題に向き合い続けた成果が、優勝へのピースとなった。その向上心に、年齢は関係ない。
岩田は言う。「年齢はただの数字」だと。優勝会見で「40代になっても活躍できる秘訣(ひけつ)」を問われると、表情を崩さずに語りはじめた。
「中学校の先生が『年をとる』は『取る』だと言っていた。だから、僕は40歳から3歳の年を『取って』37歳です」
ユーモアで返すその人柄も、魅力的だった。(平田瑛美)
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