広島東洋カープの大瀬良大地が7日のロッテ戦でノーヒットノーラン(無安打無得点試合)を達成したとの報を、同期入団の右腕は感慨深く聞いた。「昨季の苦労を見ていたぶん、うれしさがこみ上げた」

 2023年オフの現役ドラフトで広島から埼玉西武ライオンズに移籍した中村祐太(28)。東京・関東一高から2013年秋のドラフト5位で入団し、九州共立大から1位指名で入った大瀬良とは4学年差の同期だった。その年に広島に入団した選手の中で唯一、高卒新人だった中村を、大瀬良は気遣ってくれたという。

  • 西武と中村祐太をつなぐ縁 汗と涙の広島時代、築いた強さと恩はいま

 「がんばってやってるか」「けがしてないか」

 中村が体作りのために3軍にいた間、1軍の大瀬良は、そんなメッセージをよく送ってくれた。中村は言う。「優しさのかたまりみたいな人。気配りや目配りをいつもされていた」

 昨秋に3度目の右ひじの手術を受けた大瀬良は、同じ境遇の選手を放っておけなかった。手術から復帰をめざす選手に声をかけ、食事に連れて行き、相談に乗っていたという。オフの自主トレにも誘った。

 中村にとって広島でのラストシーズンとなった昨季、1軍のベンチでいつもと様子の違う大瀬良をよく見たという。右ひじの痛みからか顔色が悪かった。目の下には濃いくまができていた。それでも、23試合に登板して、ローテーションの軸だった。

 「エースの責任感で投げ抜いていたと思う。その年の大地さんを知っているから、記録達成への驚きの次にうれしさが大きかった」

 11日からベルーナドームで西武と広島の交流戦が控えている。「投手陣の数人で、全員が1軍にいて交流戦で再会できたらお祝いしようと話していたんですが、先にお祝いごとができました」

 次は自分が新天地での活躍を見せる番だと意気込んでいる。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。