(7日、プロ野球 広島東洋カープ4―0千葉ロッテマリーンズ)

 広島の大瀬良は、九回2死から立て続けに四球を与えた。

 マウンドにチームメートが集まってくる。二塁手の菊池に言われた。「みんなであと一つ(アウトを)取ろう」

 その一言に背中を押され、言葉を重ねた。「打たせるので、頼む」。この日の129球目は144キロの速球。相手の4番ポランコを右飛に打ち取ると、仲間の歓喜の輪に埋もれた。「ここまで来たらと、最後の気力を振り絞った。(無安打無得点試合は)縁がないと思っていた。自分のことではないような感じだった」

 三回終了時で54球と序盤は球数がかさんだ。「頑張って六、七回くらいまで行こう」という考えだった。奪三振は二つだけ。力まず、丁寧に低めを突いて凡打の山を築いた。

 この日が260試合目の登板だった。昨年まで5年連続で開幕投手を務めていたが、昨秋に自身3度目の右ひじ手術を受けたこともあり、今年は同期入団の九里に譲った。それでも「焦らずにじっくりやる」と復活の道を歩んできた。「苦しいことを経験しても、それを糧にして学びながらと思っていた。こういう人間もいるという姿を、これからも見せていければ」

 自らにとって交流戦での白星は2019年以来だ。久々の勝利を大記録で飾ってもなお、「チームが勝てたのが一番。次の試合が大事になってくる」。広島のために、投げ続ける。(上山浩也)

 新井監督(広) 「私も七回くらいからドキドキしていた。なかなかお目にかかることが出来ないものを見せてくれて、すばらしかったと思う」

 小園(広) 六回に2点三塁打。この日が24歳の誕生日。「(大瀬良の投球に)試合中は足が震えた。最高の誕生日プレゼントをもらいました」

 おおせら・だいち 1991年6月17日生まれ、長崎県大村市出身。長崎日大高3年時に夏の甲子園出場。九州共立大を経て2013年秋のドラフト1位で広島に入団。プロ1年目の14年に10勝を挙げて新人王を獲得し、18年には最多勝と最高勝率のタイトルに輝いた。188センチ、94キロ。

 プロ野球・広島の大瀬良大地投手(32)が7日のロッテ戦(マツダ)で史上90人目、通算102度目となる無安打無得点試合を達成した。5月24日に巨人の戸郷翔征投手が阪神戦で達成して以来。

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