県議会の海外視察のあり方を議論するために開かれた議会改革プロジェクトチームの初会合=福岡市博多区で2024年6月4日午後1時32分、城島勇人撮影

 福岡県議会は4日、過去3年間の公費を使った海外視察費用が計約2億8450万円で、3年間の予算総額は計約8000万円にもかかわらず実績額は3倍強に膨れ上がっていたことを明らかにした。県議会の海外視察を巡っては高額な費用や視察内容の公表のあり方が問題視されており、今後は超党派で作る議会改革プロジェクトチーム(PT)が海外視察費の節減方法、視察報告書の公表ルールなどについての中間答申を6月にも取りまとめる予定。

 議会事務局が同日のPT初会合で提示した資料によると、県議会では2019、22、23年度に計23回の海外視察を実施。行き先は米ハワイが最多の5回、バンコクが3回で、参加した議員と職員は延べ数で計206人だった。年度ごとの内訳は、19年度が6回で約6440万円▽22年度が6回で約7940万円▽23年度が11回で約1億4070万円。新型コロナウイルスが感染拡大していた20、21年度は実施していなかった。

 毎日新聞が23年度の海外視察費の総額を九州各県と山口県の議会事務局に確認したところ、熊本(669万円)▽山口(494万円)▽長崎(482万円)▽鹿児島(412万円)――。佐賀、大分、宮崎3県は実施しておらず、福岡県は熊本県の20倍以上の費用を使った計算になった。

 同日のPTでは、県議の一部が、訪問先にアラブ首長国連邦の最大都市、ドバイを急きょ追加した4月のアフリカ視察費が約2500万円かかる見通しであることも明らかにされた。参加した議員と職員は計10人で1人当たりの旅費は約250万円になる。

 19、22、23年度の計3年間の予算総額と実績額の乖離(かいり)について、議会事務局の担当者は「予算成立時に予定していなかった海外派遣が必要になったり円安の進行などで費用が高騰したりすることがある」などと述べ、不足分は議会費の一部を活用しているなどと説明した。

 PTは自民、民主県政、公明、新政会の主要4会派の代表ら10人で構成。初会合では説明を受けた議員側から「(海外視察には)厳しい目が注がれており、縮小の方向で考えるべき」「視察報告書をホームページで出すことも重要」などの意見が出た。

 県議会は8月にもオーストラリアへの海外視察を予定しており、PT座長の自民の野原隆士・議運委員長は「問題点や課題を確認し、できる限り早く改革案をまとめたい」と述べた。【城島勇人】

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