日本維新の会は6月1日、大阪市内で党の常任役員会を開き、SNSへの投稿が問題視されていた足立康史衆院議員について、「党員資格停止6カ月」とする処分を決定した。除名を求めて国会議員同士で「上申書」を乱発し合う“泥仕合”は、大きな局面を迎えた。
この問題は、4月に行われた衆院東京15区の補欠選挙期間中、地方組織「東京維新の会」が選挙区内で機関紙を配布したことについて、足立氏がSNSで公職選挙法上のリスクを指摘したことが発端だった。
東京維新は、足立議員のSNSでの“リスク指摘”が「候補の当落にも著しく不利な影響」があったとして、3度にわたり足立氏の除名処分を求める上申書を党に提出。これに対し足立氏も、音喜多政調会長ら東京維新執行部の除名と、配布を指示した藤田幹事長の解任を求める上申書を提出し、対立が深まっていた。
この“泥仕合”についに常任役員会で足立議員への「党員資格停止6カ月」の処分が決定した。決定後、取材に応じた藤田幹事長は、実は党紀委員会からは、足立議員には過去の処分の累積があることから、さらに重たい処分の「離党勧告」の答申を受けていたことを明かした。
しかし常任役員会で、1ランク低い処分で決定した理由について藤田幹事長は、「長く仲間でやってきたこと、国会活動や党への貢献も一定斟酌(しんしゃく)して、少し温情を持って接しなければならないと、馬場代表からの提案が諮られ、皆さんそれを了承した」と説明した。
また、足立氏が提出していた上申書は、いずれも却下された。藤田氏によると、第三者にあたる弁護士の見解を得たうえで決定したという。
足立氏は、選挙中の機関紙配布が公職選挙法違反にあたるか判断を求めていたが、藤田幹事長は「公選法の是非や事実認定は、我々にそれをする権限はないし、各議員にもない」と説明した。そのうえで、「党内で正当な手続きを取ることなく、東京維新や党本部に対する批判をSNSで繰り返した」ことを処分理由に挙げた。
これで騒動は一件落着かと思われたが、さらに波乱の展開が続く。
足立氏は、藤田氏の会見後に、党本部から100mほどの貸会議室で“反論”会見を開いた。
足立氏は「私の身分について不服を申し立てるつもりはない」と述べ、処分自体は受け入れる意向を示した。
しかし、機関紙配布については、「これからは法の抜け穴を使った選挙はやらないと言ってほしい。党が認識とこれからの方針を改めるまでは訴え続ける」と語り、処分理由についての事実認定は誤りだと主張。週明けにも、党に不服申し立てを行うと息巻いた。
足立氏の除名を求めていた東京維新の幹事長を務める音喜多政調会長は、FNNの取材に対し、「本人が不服申し立てをされるとのことなので、処分が最終確定するまでコメントは差し控えたい」と回答した。
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