広島県府中町長選が26日投開票され、自民、公明両党推薦で無所属新人の元町議川上翔一郎氏(37)が落選した。町は衆院広島1区に新たに加わった、岸田文雄首相の「お膝元」。選挙区では昨年11月の海田町長選でも自民推薦の現職が敗れた。党への逆風を浮き彫りにする結果で、地元関係者には衝撃が広がる。

5人の争いを制したのは、6242票を得た無所属新人の元町議寺尾光司氏(65)。川上氏は次点ながら3385票にとどまり、自民県議は「首相にとって痛すぎる」と大敗を振り返る。

府中町は衆院小選挙区定数「10増10減」に伴い、首相が支部長の広島1区となった。川上氏の出陣式には長男で元首相秘書官の翔太郎氏らが出席。次回選へ首相の足場を固めるはずが「出ばなをくじかれた」(広島県連幹部)格好だ。

県議会議長で首相に近い中本隆志県連会長代理が擁立を主導し、自公に加え連合広島も推薦した川上氏。態勢は一見盤石だったものの、関係者は派閥裏金事件に触れて「公明も連合も、印象が悪い自民と前面に出るのは嫌がった」と明かす。

寺尾氏は自民党員で、一部の保守系議員が支援に回った地元事情も影響したもようだ。それでも自民党筋は岸田政権へのダメージを危惧する。「地元の選挙に勝てず求心力を保てるか、疑問だ」〔共同〕

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