国会議事堂=東京都千代田区で2022年6月28日、竹内幹撮影

 超党派でつくる議員連盟は、国政選挙で候補者数に占める女性の割合が少ない場合、政党に支給される政党交付金を減額するための法改正を検討している。23日に国会内で開く集会で方針を表明するが、各党で温度差がある他、政治資金規正法の改正などを巡って国会が紛糾しており、今国会で実現できるかは不透明だ。

 法改正を検討しているのは「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」(会長・中川正春衆院議員)。

 2018年に男女の候補者が均等になることを目指す「政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)」の議員立法を主導し、21年の同法改正では議員や候補者へのハラスメント対策などが盛り込まれた。

 議連幹部によると、役員会では具体的な減額幅なども一時検討したが、「一度にそこまで進めると幅広い合意が得られない」と慎重な意見が出た。このため、まずは政党助成法の改正で「国政選挙で女性候補者の割合が少ない政党の政党交付金を減額する」という規定を盛り込み、実施時期や減額幅などは各党の実務者協議で検討する方向で合意を得たい考えだ。

フランス「パリテ法」を参考に

 政党に支給する公費に差を付け、男女の候補者が同数となるよう誘導する仕組みはフランスや韓国などで既に導入されている。

女性議員増に向けた主要6党の数値目標

 議連が参考にしたのは、フランスが00年に制定した通称・パリテ法だ。パリテは仏語で「同等・同量」を意味する。同法は国民議会(下院)の議員選挙で、各党に男女同数の候補者擁立を義務付け、男女差が2%超の場合、政党交付金のうち得票数に応じて配分される部分を減額する仕組みだ。

 フランスでは数年おきに減額幅を増やす改正を重ね、20年間で4倍近く下院の女性議員比率を向上させることに成功した。

 また、韓国では小選挙区の3割以上に女性を擁立することを努力義務とし、実際に一定数以上の女性候補者を公認した政党に補助金を支給している。比例区でも、政党の候補者名簿の半数以上が女性でなければならないと定めている。

 内閣府の調査(20年)によると、世界の国と地域196のうち、候補者や議席の一定数を女性に割り当てるクオータ制を導入しているのはフランスや韓国を含め118に上るという。

議連会長「与野党で合意を」

 議連は政党助成法改正の他、公職選挙法の改正も視野に入れる。衆院選比例代表の候補者名簿について、性別などでグループ化し、男女交互に当選順位を決められるようにするなどの案を検討している。

 議連会長の中川氏は取材に「現在の候補者男女均等法は理念法にとどまる。より具体的な成果につなげるため、与野党が合意できる形でさらなる改正を実現したい」としている。【安部志帆子】

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