去年、大阪湾に迷い込んで死んだクジラの処理費が、試算の倍以上に膨らんだ問題。

大阪市の課長が、業者に支払う金額を引き上げるよう、担当者に強く進言していたことがわかりました。

22日午後2時から大阪市内で開かれた、入札や契約が適正か確認する「入札等監視委員会」。
大阪市は、弁護士などの委員に対し去年1月、淀川の河口付近で見つかったマッコウクジラ「淀ちゃん」の死骸処理について、調査結果を報告しました。

■海底に沈める方針 松井市長(当時)が決定

「淀ちゃん」の死骸処理をめぐっては、海底に沈める方針を当時の松井市長が決定。
処理費用は当初、3800万円ほどと試算されていましたが、実際には倍以上のおよそ8000万円まで増額。

これまでに、大阪港湾局の職員が処理業者と早く契約に至ろうと、試算額を業者の見積り額に合わせるように上司に進言していたことなどが明らかになっていました。

■担当外の課長が「業者の意向に沿うよう」強く進言

そして22日、処理業者との協議で直接の担当ではない大阪市の課長が、担当の課長に対し、業者の意向に沿って金額を上げるよう強く進言していたことが、クジラの処理費用を巡る内部資料から、新たに分かりました。

協議には、処理業者の担当者、大阪市の担当の海務課長、そして担当外の経営改革課長などが参加し、以下のようなやり取りが繰り広げられていました。

■「金を積まんことには話にならん」担当外の課長

【処理業者】「ブラックボックスにできるのはクジラの清掃なので、うまく8000万(円)台へもっていったらいいんちゃうの」

【担当外の経営改革課長(当時)】「『(金を)積まんことには話にならん』ということやね。8000万円を超える数字を出さないと」

■慎重姿勢の担当課長に対し「(上司に)諮らんでええって」

担当の課長が「上司に諮(はか)らないといけない」と発言すると…

【担当外の経営改革課長(当時)】「諮らんでええって。この期に及んでそんなこと言っている時間ないやろ」

大阪港湾局は、最終的に業者側の見積りをもとに、金額を引き上げることになったのです。

■「不適切な計上との疑いが残る」市の監査委員

この費用に対し、大阪市の監査委員は「不適切な計上との疑いが残る」と指摘しています。

この問題について、大阪市横山市長は「適切じゃない部分はあると思う。事業の遂行全体が適切に行われていたか諮っていきたい」と話しています。

■契約が適切だったか委員会の判断は6月以降

大阪市はことし2月から契約の流れの調査を行っていて、入札等監視委員会に調査結果を報告。契約が適切だったのか、委員会の判断は6月以降に公表されます。

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