参院憲法審査会は8日、今国会初の自由討議を実施した。公明党の西田実仁氏は、緊急事態時の国会議員任期延長に関する議論の充実を求めた。「民主的な正当性を確保するのには選挙が肝要だ。なぜ繰り延べ投票では駄目なのか。議論を深める必要がある」と指摘した。参院議員は半数改選であることなどから、議員任期延長は不要と明言した。

衆院憲法審では、公明も含む改憲勢力の5党派が任期延長の改憲の必要性で一致し、早期の条文案作成を主張する。公明憲法調査会副会長の大口善徳衆院議員は3日の改憲派集会で「議論は出尽くした。賛同する会派とともに改正案のたたき台を出す」と発言しており、衆参の温度差が裏付けられた形だ。

自民党の佐藤正久氏は衆院解散後の緊急時に参院が国会権能を暫定的に代行する「緊急集会」に関し、災害で国会が使えない場合の代替地確保などを挙げ「検討事項を洗い出す必要がある」と言及。首都直下地震に備えた論点整理も提案した。

立憲民主党の辻元清美氏は、自民派閥の裏金事件を巡り岸田文雄首相は処分を受けていないとして「自らにけじめをつけることなく憲法を語る資格はないと多くの国民が見ている。信頼回復なくして憲法論議はできない」と批判した。

日本維新の会の片山大介氏は「時代に即した憲法を作り上げるのは国会議員に課せられた重大な責務だ」として、定例日以外の憲法審開催を訴えた。無所属で国民民主党会派の大塚耕平氏は、国際情勢の変化に伴う課題を列挙した。

共産党の山添拓氏は、自民総裁任期中の改憲実現を掲げる首相の姿勢を「政権延命のための最悪な政治利用だ」と批判。れいわ新選組の山本太郎氏は「改憲を語る前に、今の憲法を守るべきだ」と訴えた。〔共同〕

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