国営諫早湾干拓事業(諫干)を巡り、農林水産省が有明海の再生事業を対象にした交付金を新設し、2025年度当初予算案に10億円を計上する方向で調整していることが23日、関係者への取材で判明した。期間は10年間とし、総額は100億円規模となる方針。
諫干を巡っては、23年3月の最高裁決定で開門を認めない判断が確定。佐賀県有明海漁協(佐賀市)など地元の漁業関係3団体の代表が24年2月、排水門を開けない代わりに100億円の漁業振興基金を創設して不漁問題の解決を図る、国の案に賛同すると農水省に伝達していた。
基金創設に関し、農水省は地元自治体の負担が生じる可能性に言及していた一方、県は全額を国の負担とするよう求めていた。
関係者によると、農水省は野党側の反応などを踏まえ、基金ではなく「有明海再生加速化対策交付金」を新設。海底の耕運と二枚貝の養殖を組み合わせるなどした有明海再生の加速化対策に充て、全額を国が負担する。有明海に面した佐賀、長崎、熊本、福岡の各県が対象となる。【五十嵐隆浩】
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