東京電力福島第1原発=福島県大熊町夫沢の展望台から2024年6月8日、尾崎修二撮影

 東京電力福島第1原発事故後に福島県内の除染で出た土などの廃棄物について、政府は20日、最終処分を具体化するための閣僚会議の初会合を首相官邸で開いた。議長の林芳正官房長官は来年春までに県外処分に向けた基本方針、夏までに工程表を取りまとめるよう指示した。

 除染土は2045年3月までに県外で最終処分すると法律で定められているが、処分地の選定などは難航することが予想される。林官房長官は会議で「県外最終処分の方針は、福島県が既に極めて重い負担を負っていることを踏まえたもので、日本全体で取り組むべき課題だ」と強調した。

 環境省によると、福島県内の中間貯蔵施設には、約1400万立方メートルの除染土が搬入されている(11月末時点)。政府は最終処分する量を減らすため、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の土を道路の盛り土などに再利用する計画で、集められた除染土の4分の3がこの基準に該当するという。

 国際原子力機関(IAEA)は9月、政府の計画について「安全基準に合致している」と評価する最終報告書を公表しており、環境省は再利用の基準など24年度末までに正式決定する。また、閣僚会議に先行し、再利用の方向性も含めた最終処分までの工程表も年度内に示す方針。【山口智】

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