石破茂首相はトランプ次期米大統領と会談するため、来年1月中旬に訪米する方向で検討に入った。早期の会談実現で、バイデン政権下で「前例のない高み」に引き上げられた日米関係をトランプ次期政権になっても引き継ぐ方針を内外に示したい考えだ。
複数の関係者が19日、明らかにした。政権内には「中身を伴う首脳会談にすべきだ」(首相周辺)との慎重論もあり、首相が近く最終判断する。
トランプ氏は1月20日に大統領に就任する。このため首相とトランプ氏の会談は、20日の大統領就任式に先立って実施する方向で調整が進められている。政府・与党は来年の通常国会について1月21日召集を軸に調整している。召集前にトランプ氏と会談して強固な日米同盟を確認することで、衆院で過半数を持たない「少数与党」として迎える通常国会の弾みとしたい思惑もある。
トランプ氏は15日、故安倍晋三元首相の妻、昭恵さんと南部フロリダ州の自宅で面会。16日の記者会見では、石破首相との会談に前向きな姿勢を示したうえで、大統領就任式に先立って会談することもあり得ると表明していた。トランプ氏の16日の記者会見を受けて、早期の会談に向けた調整が進んだ。
石破首相は大統領選直後の今年11月、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、主要20カ国・地域(G20)の首脳会議出席のための南米歴訪に合わせて、トランプ氏との会談を模索した。しかし、トランプ氏側からは、私人が許可なく外交交渉を行うことを禁じるローガン法の制約があるとして「現時点ではトランプ氏との会談はいずれの国とも行わない」と伝えられ、断念した。
その後、日本側は「双方が最も都合が良い時期になるべく早期に会談を行いたい」(石破首相)との方針に軌道修正。トランプ氏の正式就任後で、日本側では来年度当初予算案の成立にめどがつく2月以降の訪米を目指してきたが、トランプ氏側から1月中旬の早期会談の申し出があったことから、前倒しで検討することになった。
トランプ氏は初めて大統領選に勝利した2016年11月、当時、首相だった安倍氏といち早く会談。その後、2人は良好な関係を築いたことで知られる。【加藤明子、竹内望】
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