自民党年金委員会冒頭、「年金制度というものは安易な願望は廃し、極めて保守的な頭でしっかりしたものをつくるのが基本」とあいさつする宮沢洋一・年金委員長=同党本部で2024年12月18日、宇多川はるか撮影

 自民党の年金委員会は18日、次期年金制度改革に向けた提言をまとめた。厚生労働省が検討する基礎年金の給付水準を底上げする案については、経済が好転しない場合に実施すべきだとの条件を付けた。厚労省は提言に沿う内容で調整を進め、来年の通常国会での関連法案提出を目指す。

 この案は、会社員らが加入する厚生年金の積立金の一部を基礎年金の財源に充てつつ、物価や賃金に合わせ給付を減らす「マクロ経済スライド」による調整期間を基礎年金で短縮するというもの。

 厚労省は経済成長が現状のままだと将来的に基礎年金の目減りだけが続くため、その打開策と位置づける。ただ、経済が好転すれば基礎年金の給付水準の底上げをする必要性が薄れる可能性があるため、提言では「経済が好調に推移しないリスクシナリオの備え」と記した。

 基礎年金の半分は国庫負担で、給付水準が上がるため追加財源が必要になる。この点については「(基礎年金底上げ案)実施に伴う国庫負担の増加については、安定財源を確保すべきだ」と求めた。

 社会保険料の「年収106万円の壁」を巡っては、賃金要件と企業規模要件の撤廃、5人以上の個人事業所の非適用業種の解消も実現すべきだと求めた。【宇多川はるか】

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