政治改革関連法案を巡り各党への質疑が行われた衆院政治改革特別委(13日)

自民党は政治資金の監査役を担う第三者機関の設置を巡り、国民民主党と公明党が共同提出した法案を受け入れる方針だ。支出公開に例外を設ける規定は結論を先送りする立場に転じたものの、立憲民主党は規定の撤回を求めて反対しており調整を急ぐ。

自民党は16日にも衆院政治改革特別委員会での採決に向けて関連法案の修正作業を進めている。自公は少数与党となり、一部の野党の賛成を得ないと法案を通せない。与野党が計9本の法案を提出し、12日に実質審議入りしていた。

国民民主と公明党が出した第三者機関設置法案は政治資金収支報告書に虚偽の記載や記載漏れの訂正を求める権限を付与する。政治資金の流れを幅広くチェックする役割を担う。

自民党が単独で提出した法案は第三者機関の監査対象に関し、プライバシー保護などを理由に使途を非公開にできる「公開方法工夫支出」に限っていた。両法案とも第三者機関を国会に設置し、提言機能を持たせるとしており共通点が多かった。

自民党は使途の公開義務がなく、政党などが議員個人に渡す政策活動費の廃止を巡り野党に歩み寄る。禁止対象とする支出元を政党や国会議員関係政治団体の2つから全ての政治団体に広げる方向だ。野党が特別委で例外をつくるべきでないと主張した。

公開方法工夫支出は隔たりが大きい。自民党は13日、工夫支出について法案の本則から削除し、付則に2026年1月までに検討を加え、必要な法制上の措置を講じると書き込む案を野党に示した。

立民が突っぱねたため、自民党は法制上の措置を講じる期日を落とした案を再提案した。立民はこれも拒否し「使途がわからない支出をやるという案は認めない」と訴えた。

野田佳彦代表は14日、党本部で記者団に公開方法工夫支出に関する自民党の提案を容認しない考えを示した。「なぜ(結論を)先送りしないといけないのかがわからない」と発言した。

政策活動費を廃止しても工夫支出を容認すれば不透明な資金の流れが続くと主張する。野田氏は廃止に関し「野党はまとまっていけると思う」とも触れた。立民は野党6党派で共同提出した政策活動費の廃止法案の衆院可決をめざす。

自民党幹部は新設する第三者機関に工夫支出が必要かどうかの議論を委ねる案を提唱する。同じ主張を持つ国民民主との協力を模索している。自民は国公の法案の検討事項に工夫支出への言及を盛り込むよう打診し、国民民主は断った。

国民民主は立民など野党6会派で政策活動費の廃止法案を共同提出しており、立民などのつなぎ留めも受ける。

政治改革特別委の議事進行役を務める委員長に立民の渡辺周氏が就いている。自民党は公明、国民民主両党と足並みをそろえて過半数の賛成票を確保できても、立民の理解を得ないと16日の採決に進めない可能性がある。16日の採決は厳しいとの声が自民党幹部からも漏れ始めた。

自民党は立民らが求める企業・団体献金の禁止に応じない。特別委で「企業献金が悪で個人献金が善という立場をとらない」との認識を繰り返し主張した。公明、国民民主も禁止に慎重な立場を堅持している。

野田氏は13日放送のCS-TBS番組で企業・団体献金に関する結論を25年3月末までに出すよう求めた。臨時国会に禁止法案を提出したものの成立を急がない考えを示す発言だ。

政治とカネ問題を25年1月召集の通常国会まで引き延ばす立民の思惑も透ける。25年夏の都議選や参院選で政治資金問題を争点にしたほうが得策との読みが働く。

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