石破茂首相は11日の衆院予算委員会で、政策活動費廃止の例外として政治資金規正法改正の自民党案に盛り込んだ「公開方法工夫支出」について、支出額の上限は設けず、領収書の公開も想定していないと明らかにした。野党は「政活費の名前を変えただけ」「新たなブラックボックス」などと相次いで批判した。
政活費は政党から政治家個人に支出され、その使途を公開する必要がないことから「ブラックボックス」と批判されてきた。
立憲民主党や日本維新の会、国民民主党など野党7党は政活費を廃止する規正法改正案を国会に提出。自民は政活費自体は廃止する一方で、外交上の秘密などに関する支出については工夫支出として使途を非公開にできる法案を単独で提出した。
首相はこの日の予算委で、立憲の黒岩宇洋氏の質問に対し、工夫支出に上限がないことや、領収書は公開されない方針であることを認めた。
黒岩氏は「結局、使い放題になり改悪だ」と批判。首相は「国交がない国とのやりとりにしても、外へ出したら交渉が成り立たないものは世の中にいっぱいある」と例示し、工夫支出に該当するかは国会に新設する第三者の監査機関で厳格に判断されると説明した。
維新の三木圭恵氏も工夫支出について「名前を変えただけでブラックボックスになる」と追及した。首相は「非公開が認められるのは氏名、住所、日付だけで、金額や目的は公表する。誰が見ても正しいと思ってもらえるようにする」と述べ、理解を求めた。
ただ、外交上の秘密かどうかを第三者の監査機関が適切に判断できるのかとの疑問も野党側から投げかけられた。首相は「どうやって審査機関を厳格なものにするか、我が党の中で今全力で議論している」と述べるにとどめた。
黒岩氏はさらに、来年から政活費を使用しないよう首相に求めた。自民案は政活費の廃止を2026年1月1日からと規定している。首相は来夏の参院選や都議選などには「使わない」と明言する一方、「(来年から)完全に使わないと断言することはできない」とも述べ、政策の周知など党勢拡大に使用する余地を残した。
立憲などは国会審議などを通じて自民の政治改革に後ろ向きな姿勢をあぶり出したい考えで、各党の駆け引きが激しくなりそうだ。【村尾哲】
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