石破首相は、経済界・労働団体との3者会合で、2025年の大幅な賃上げと最低賃金引き上げへの協力を求めました。

石破政権になって初めて開かれた「政労使会議」には、経団連の十倉会長と連合の芳野会長らが出席し、石破首相は2025年の春闘での大幅な賃上げの継続を求めました。

石破首相:
33年ぶりの高水準の賃上げとなったことしの勢いで、大幅な賃上げにご協力をお願いいたします。

さらに石破首相は、最低賃金を2020年代に全国平均1500円に引き上げる政府の目標達成に向け、官民を挙げて環境整備を図ると表明し、対応策を2025年の春までにまとめるよう、関係閣僚に指示しました。

ここ10年の最低賃金の全国平均の推移を見ていきます。
2024年度は前年より51円アップで1055円ということで、4年連続で過去最大の上げ幅になっています。

年平均の上昇率は3.1%となっていますが、一方で政府が掲げる「2020年代に1500円」を達成するには、年平均で7.3%の上昇が必要で、最低賃金の引き上げは中小企業の負担が増えるという声もあります。

青井実キャスター:
賃上げ、時給は上がると従業員の生産性が上がって、また売り上げもアップするんじゃないかと、いい循環になるのかなと思ってしまいますが、26日の徳島の例を見ていきたいと思いますが、最低賃金の地図をまず見ていきます。

最も高いのは東京都で1163円。
最も低い秋田県は951円で212円も差があるわけですが、徳島だけ色が違います。

前年比84円アップと断トツで伸びています。

フジテレビ・立石修解説委員室長:
徳島県はこれまで最低賃金がワースト2位で、労働力の流出などが止まらない状況が続いていました。

そこで、後藤田正純県知事が「これは地方の生き残りの戦国時代」と宣言して政治決断。
審議会に要請を繰り返して、今回の異例の引き上げにつながったと。

これは「徳島ショック」と呼ばれて、ほかの県にも影響や波紋を与えています。

青井キャスター:
徳島県民の皆さんの受け止めはどうですか?

立石解説委員室長:
先週、徳島で記者が取材したんですが、働いている人たちにはおおむね好評でした。

ただこちらのヨーグルト工場では、11月から人件費が上がって、新しい冷蔵庫の購入を取りやめたと。
つまり設備投資を断念して、企業経営にも影響が出始めている状況です。

経営者は「賃金の上げ方のスピードが早すぎやしませんか?」という懸念をしています。

青井キャスター:
企業側に不安があるわけですが、このあたりはどうでしょうか?

立石解説委員室長:
消費欲が上がっている人も中にはいるようです。
企業は大変ですが、生産性を上げていくことで地域経済が回る可能性はあると思います。

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