兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事(47)の陣営が斎藤氏の選挙戦に関わったPR会社と契約した際、契約書を取り交わしていなかったことが明らかになった。斎藤氏の代理人弁護士は取材に「口頭合意だった。支払いは請求書に基づいて済ませた」と述べた。斎藤氏は26日、改めて「ポスターなどの製作費としてPR会社に70万円を支払ったが、法令に抵触する事実はない」と説明した。
弁護士によると、PR会社からは、斎藤氏の後援会宛ての請求書が知事選告示日の10月31日に届けられた。11月4日に消費税込みで計71万5000円を後援会名義の銀行口座から振り込んだという。内訳は▽公約のスライド製作30万円▽チラシのデザイン製作15万円▽メインビジュアルの企画・製作10万円▽ポスターのデザイン製作5万円▽選挙公報のデザイン製作5万円。
弁護士は取材に「契約書がないのは、書面を交わすところまで(斎藤氏側の)思いが至らなかったのだと思う」と推察し、「いろんな提案があった中で、これとこれを頼むとなった場合、必ずしも契約書を作らない場合もある」と、口頭契約でも問題ないとの認識を示した。
PR会社の社長は20日付でインターネットの投稿プラットフォーム「note」で、選挙戦でSNS(ネット交流サービス)などを使った「広報全般を任せていただいた」と発信。斎藤氏のプロフィル写真の撮影やポスター製作、SNS運用など選挙戦の裏側を紹介する記事で、SNSについて「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画(中略)などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」と明かしていた。社長は26日までに取材に応じていない。
選挙期間中に有償で主体的に広報業務を担った場合、公職選挙法が禁ずる買収に当たる恐れがある。
一方、斎藤氏は25日、選挙戦でのSNS運用は「あくまで斎藤事務所が主体的にやったことだ」と述べ、PR会社社長は「ボランティアとして個人で参加されたと認識している」との見解を示した。斎藤氏側はPR会社との契約はあくまでポスター製作などに限ったもので「買収には当たらない」との立場だ。
県選管によると、公選法は業者側に選挙運動用のポスターやチラシの製作費を支払うことは認めているが、インターネットの選挙戦略の立案は陣営が行うもので、報酬を支払うと法に抵触する可能性があるという。【中田敦子、大野航太郎】
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