特別国会が11日召集され、10月の衆院選で当選した議員たちが初登院した。今回の選挙では女性の当選者が過去最多となり、野党の躍進も目立った。自民党派閥による裏金事件の逆風を受け、自民、公明両党が少数与党となる中、国政をどう担っていくのか。議事堂に集った新議員たちはそれぞれの思いを胸に正門をくぐった。
午前8時、雨上がりの曇り空の中、開門と同時に新人議員らが次々と国会に足を踏み入れた。一番乗りした日本維新の会の阿部圭史氏(38)=兵庫2区、比例復活=は10日午後11時前から並んだという。「国政の課題がたくさんある中で、先陣を切って改革を進めていくため、最初に来ることを目指した」と決意を語った。議席を公示前から4倍の28に増やして躍進した国民民主党の橋本幹彦氏(28)=埼玉13区=も午前2時に到着した。元自衛官で、選挙戦では若さと体力を生かしてペダル付きのバイクをこいで走り回り、「裏金議員」を降して初当選を果たした。「これから政治は大きく動く。わくわくしている。裏金問題は氷山の一角。政治改革に取り組み、もっと大きな氷を溶かしたい」と意気込んだ。
衆院選では過去最多となる73人の女性議員が当選し、子育てとの両立を掲げる議員の姿も目立った。
初当選した立憲民主党の岡田華子氏(44)=青森3区=は、7歳と3歳の男児の母で、この日は東京都内の自宅マンションでご飯を食べさせてから来た。「子育てと両立しながら国会議員をできるような働き方をしたい」と笑顔を見せた。裏金事件で総務相を辞任した自民前職の鈴木淳司氏らを破り、初当選した国民民主の日野紗里亜氏(36)=愛知7区=も、三つ子の母。「現状の選挙制度は子育て中の女性が手を挙げて選挙を戦うのは難しい。旧来のマッチョな選挙活動を変えていきたい」と力を込めた。
公示前の3倍となる9議席を獲得して躍進したれいわ新選組の新人、八幡愛氏(37)=大阪13区、比例復活=は茶色のジャケット姿で登場。支援者の声援を受けながら正門をくぐった。アイドルやタレント活動をする中で、福島での原発事故など社会問題に関心を持ち、政治を志した。「朝起きたらプレッシャーなのか吐いてしまったけど、飲み込みました」と報道陣を笑わせた後、「国民民主党ばかり注目されるけど、生活に直結する経済政策を主張してきたれいわ新選組をもっと浮かび上がらせたい」と抱負を語った。
衆院選では裏金事件に対する逆風が吹き荒れ、野党躍進の大きな要因となった。裏金事件で旧安倍派幹部「5人衆」の一人で、自民党から非公認となった前職の高木毅氏を破った立憲の辻英之氏(54)=福井2区=は、「今はダイナミックな政治の動きの中にいる。政権交代に向けて頑張っていきたい」と話す。初登院のために、新調した紺のスーツに袖を通し、自身のイメージカラーの緑のネクタイを締めた。国会議事堂を背景に撮影した写真を妻に送り「嫁さんから『頑張れ』と送り出された。人への投資に取り組み、国会で埋没しないようにしたい」と語った。
名古屋市長から、15年ぶりに国政に復帰した日本保守党の河村たかし氏(76)=愛知1区=は、名古屋市の特産品の絞り染め「有松鳴海絞り」のシャツとネクタイを着用して登院した。自閉症の人たちが作った製品という。自民党については「信念と関係なく団体戦をやるのが自民党。信念をころっと変えてしまう。政策の意味がない」と批判し、「自民党との連立はあり得ない」と話した。報道陣の前で、選挙戦のキャッチフレーズとなった「総理を狙う男アゲイン」を披露し、議事堂に入った。
一方、少数与党となった自民党で最年少当選した大空幸星氏(25)=東京15区、比例復活=は「自民党に入ったら厳しいことを言えないのではないかという声がある。私が実現したい社会を実現するために、言うべきことは言いたい」と語った。同じく自民から初当選した福田かおる氏(39)=東京18区=は「政治とカネ」の問題について「本当におかしな話だと思う。国民と自民党の考えていることに大きなずれが生じている。『変えてくれ』と送り出されたからこそ、頑張らないといけない」と気持ちを引き締めていた。【大場弘行、遠藤浩二、島袋太輔】
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