自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、清和政策研究会(旧安倍派)から受け取ったパーティー券収入のノルマ超過分を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反容疑で告発され、不起訴処分となった世耕弘成前参院幹事長と萩生田光一元政調会長について、東京第5検察審査会は、不起訴相当と判断した。いずれも10月9日付。裏金事件で検察審の議決は初めて。
2人は東京地検特捜部に容疑不十分とされており、議決は「処分を覆すに足りる事由がない」とした。世耕、萩生田両氏の刑事責任が問われることはなくなった。
一方、特捜部が5月、政治資金規正法違反成立を認定しつつ、不記載の金額も考慮して起訴を見送っていた世耕氏の政治団体の会計責任者について、議決は不起訴不当とした。東京地検特捜部が今後の再捜査で再び不起訴とすれば、捜査は終結する。
議決は事件を旧安倍派の組織的な犯行とした上で、世耕氏の不記載額が5年で1542万円に上ったことに触れ、「一般市民の感覚からすれば極めて高額」と指摘。旧安倍派からの指示に安易に従い、議員に相談することもなく漫然と不記載の問題を抱え込んだ会計責任者は、「悪質性が相当高い」と批判した。
特捜部が政治資金規正法違反の成立を認定していた萩生田氏の当時の秘書は議決時点で告発が出されておらず、議決は不起訴処分の妥当性を判断しなかった。【安元久美子】
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