外国人技能実習生への人権侵害を防ごうと、出入国在留管理庁は1日、制度の運用要領を見直した。実習先から別の職場に移る「転籍」の要件に、パワハラやセクハラ、悪質な契約違反があった場合などと明記した。

これまでは「やむを得ない事情」があれば認めるとしていたが、内容が曖昧との指摘があり、該当するケースを明確化させた。

途上国への技術移転を名目とする技能実習制度では、同じ職場で集中的に働いて技術を身に付けてもらうため、原則3年は転籍できない。一方、劣悪な環境や賃金不払いなどで勤務先から姿を消す実習生が相次ぎ、2023年の失踪者は9753人と過去最多を更新。転籍に関する運用の改善が急務となっていた。

新たな要領では、パワハラやセクハラを受けた本人だけでなく、職場の同僚も転籍の対象となる。転籍手続き中の生活費に困らないよう、週28時間以内のアルバイトを認める。

転籍しようとしても新たな勤務先が見つからず、別の在留資格「特定技能」での就労を望む際の特例も定めた。資格移行には試験に合格する必要があるが、それまでのつなぎとして、就労可能な在留資格「特定活動」を付与する。〔共同〕

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