ウェブサイト「プライドビジョン」のサンプル画面。選挙ポスターにスマートフォンをかざすと、同性婚に賛成する候補(右)は虹色の背景になり、「賛成」の文字が出る=公益社団法人「マリッジ・フォー・オール・ジャパン」提供

 選挙ポスターにスマートフォンのカメラをかざすと、同性婚に賛成する候補は虹色に輝く。27日投開票の衆院選に合わせ、公益社団法人「マリッジ・フォー・オール・ジャパン」(MFAJ)がそんな機能を持つウェブサイト「プライドビジョン」(https://pride-vision.com/)を公開した。

 担当者は「選挙ポスターは身近にあふれているのに、ほとんどが顔と名前、スローガンしか載っておらず素通りされている。選挙を楽しみ、興味を持つきっかけになれば」と語る。

賛成候補は52%

 衆院選に向け東京大の研究室と報道機関が共同で実施したアンケートで、同性婚の法制化について「賛成」「どちらかと言えば賛成」と答えた人を賛成候補とした。賛成候補は、全候補1344人のうち52%の701人だった。その結果を順次、張り出された選挙ポスターと連動させている。

ウェブサイト「プライドビジョン」のサンプル画面=公益社団法人「マリッジ・フォー・オール・ジャパン」提供

 MFAJは同性婚法制化の実現を目指しており、サイトは賛同する有志や企業の協力も得ながら開発した。4月の衆院補選で初導入し、「手軽でわかりやすい」などと好評だったため、今回の衆院選では全国的に展開することにした。

 「政策と民意の隔たりが大きい現状を変えるきっかけになってほしい」との思いもある。

 国立社会保障・人口問題研究所が2023年8月に発表した調査では、国民の75・6%が同性婚の法制化に賛成した。同性婚を認めない現行制度は憲法に反するとして当事者が起こした訴訟は19年以降に5地裁で6件あり、うち5件が1審判決で「違憲」または「違憲状態」と判断されている。

 ただ、「政治とカネ」の問題や経済対策、外交、安全保障など争点が多岐にわたる衆院選で、同性婚法制化の議論は埋もれがちだ。MFAJの担当者は「(サイトを利用して)投票行動を考える一つのきっかけにしてほしい」と話している。【平塚雄太】

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