旧優生保護法補償金支給法が可決、成立した参院本会議=国会内で2024年10月8日午後5時38分、平田明浩撮影

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制した被害者に1500万円を支払う旧優生保護法補償金支給法が8日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。被害者に謝罪や差別の根絶を表明する決議も全会一致で採択した。

 補償金支給法は、不妊手術を受けた本人に1500万円、その配偶者に500万円の補償金を支給。旧優生保護法下で障害などを理由に人工妊娠中絶手術を受けた被害者には一時金として200万円を支払う。不妊手術を受けた本人を対象とする現行の一時金支給法は、補償金支給法に一本化される。

 被害認定はこども家庭庁に設置する審査会が担当し、本人の証言や資料などから「明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと」が確認できれば幅広く救済する方針。前文には国会及び政府による謝罪を明記し、国による支給手続きの周知や相談支援のほか、被害実態の調査検証も盛り込んだ。補償金・一時金の支給総額が約4710億円、支給対象者は概算で計5万6665人。

 決議には「優生思想に基づく誤った施策を推進させたことについて、悔悟と反省の念を込めて深刻にその責任を認めるとともに、心から深く謝罪する」との文言を盛り込んだ。

 旧優生保護法を巡っては最高裁が7月、旧優生保護法を違憲とし、国の賠償責任を認める判決を下した。超党派議員連盟が新たな補償制度の検討を開始。原告側の要望を踏まえ、一時金支給法では対象外だった配偶者や中絶被害者も含めた補償金支給法案を9月、議員立法として取りまとめた。【塩田彩】

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