立憲民主党は7日、次の衆院選(15日公示―27日投開票)の公約を発表した。「分厚い中間層の復活」など7本柱を主要政策とした。中低所得者の消費税負担の一部を税額控除と給付で軽減する「給付付き税額控除」をかかげた。消費税率の引き下げは盛り込まなかった。
中間層復活は野田佳彦代表が首相だった2011年に看板政策として打ち出していた。自民党政権下で格差が広がったと主張し、主要政策として再び提起した。
給付付き税額控除は旧民主党政権も提唱していた。現在8%の軽減税率を廃止して導入する。立民は21年衆院選や22年参院選で公約に消費税の時限的な減税を明記していた。野田氏は9月の代表選で、膨張を続ける社会保障費の財源確保のため減税に否定的な考えを示していた。
所得税の累進性に関して「勤労意欲の減退や人材の海外流出などの懸念に十分配慮した上で強化する」と記した。最低賃金は1500円以上を目標とした。実現の時期には触れなかった。石破茂首相は「20年代に全国平均1500円」をめざすと表明している。
公約のタイトルは「政権交代こそ、最大の政治改革」と名付け、改革の深掘りを主要政策に位置づけた。24年通常国会で成立した改正政治資金規正法の再改正を求める。
企業・団体献金を禁止し、政策活動費を廃止して「金権腐敗政治を終わらせる」と強調した。政治資金収支報告書の保存と公開期間を延ばす。政治資金を親族に非課税で引き継ぐことを制限することで、国会議員の世襲を制限する案も盛った。
外交・安全保障では「日米同盟を基軸とした安定した政策を進める」と明示した。自民党政権からの継続性を重視し、現実路線を打ち出した。
一方、食い違う政策も目立つ。沖縄県の米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事は「中止」と明記し、沖縄の基地のあり方などを巡って「米国に再交渉を求める」と訴えた。
集団的自衛権の一部行使を容認した安全保障関連法は「違憲部分を廃止する」と説明した。野田氏は代表選で、即時廃止に慎重な発言をしていた。党内や選挙協力を模索する共産党などの反発に配慮したとの見方がある。
岸田文雄政権で増額した防衛費は予算を精査し、増額への増税はしないと記した。防衛力強化の必要性は認め、自衛隊員の処遇改善に取り組むと書いた。
党綱領にある原子力発電所の「ゼロ」には触れなかった。原発は新増設は認めず、再稼働に関して実効性ある避難計画の策定や地元合意を条件に容認する。2050年までに再生可能エネルギーによる発電割合100%を唱えた。
子育てや教育では公立小中学校の給食費を無償にする。国公立大学の授業料を無償にして、私立大学や専門学校は同額程度の負担軽減をうたう。児童手当は18歳まで一律で月額1万5000円に増やす。
現行の健康保険証を12月に廃止する政府方針は、国民の不安が払拭されるまで紙の健康保険証を存続させる。
憲法は「論憲」を進めるとしたこれまでの方針を維持した。9条の自衛隊明記や国会議員の任期延長を含む緊急事態条項、自民党の憲法改正案に反対した。
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