自民党幹部との協議後、次期衆院選の対応について話す石破茂首相(党総裁)=東京都千代田区の党本部で森口沙織撮影

 石破茂首相(自民党総裁)は6日、派閥の政治資金パーティー裏金事件で不記載があった現職国会議員・支部長計43人(引退を表明した議員をのぞく)について、次期衆院選(15日公示、27日投開票予定)で比例代表への重複立候補を認めないと表明した。他に萩生田光一元政調会長ら6議員については、4月に決めた党内処分が続いているなどとして、小選挙区での公認もしないとした。党本部で森山裕幹事長らと会談後、記者団に明らかにした。

 党執行部は裏金議員について、原則公認し、比例代表との重複立候補も原則容認する方向だったが、世論からの強い批判を背景に、首相が党内を押し切った形だ。

 首相は記者団に「相当程度の非公認が生ずることとなるが、国民の信頼を得る観点から、公認権者として責任を持って最終的に判断していく」と語った。

 首相は、小選挙区での対応について①「選挙における非公認」より重い処分を受けた者②非公認より軽い処分でも、処分が継続し、国会の政治倫理審査会に出席して説明していない者③処分を受け、地元での理解が十分に進んでいないなどと判断される者――は非公認とすると表明。比例代表との重複に関しては「不記載があったその他の議員についても比例名簿への登載はしない。退路を断って有権者の審判に当落を委ねる」と説明した。

 自身と森山幹事長、小野寺五典政調会長、鈴木俊一総務会長、小泉進次郎選挙対策委員長の党四役についても比例との重複立候補はしないと表明し、「共に責任を果たしていく」とした。

 非公認の条件となる①については、下村博文元文部科学相と西村康稔元経済産業相(党員資格停止1年)、高木毅元国対委員長(同6カ月)の3人が該当。②は萩生田氏のほか、三ツ林裕巳元副内閣相、平沢勝栄元復興相(いずれも党役職停止1年)の3人が該当する。③に該当する議員がいれば、さらに非公認の人数は増える。

 杉田水脈、尾身朝子、上杉謙太郎の各氏ら比例単独での出馬が取り沙汰されている議員の扱いは、今後検討するという。

 立憲民主党の野田佳彦代表は6日、首相の表明について、東京都内で記者団に「裏金議員のほとんどが公認される。この仕組みでは、国民理解を得ることは全然できない」と批判した。【金寿英】

非公認となる6衆院議員

※選挙区は今回の衆院選で立候補予定のもの

・下村博文元文科相(党員資格停止1年)

 東京11区、不記載額476万円、安倍派

・西村康稔元経済産業相(同)

 兵庫9区、同100万円、安倍派

・高木毅元国対委員長(同6カ月)

 福井2区、同1019万円、安倍派

・三ツ林裕巳元副内閣相(党役職停止1年)

 埼玉13区、同2954万円、安倍派

・平沢勝栄元復興相(同)

 東京17区、同1817万円、二階派

・萩生田光一元政調会長(同)

 東京24区、同2728万円、安倍派

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