兵庫県の斎藤知事のパワハラ疑惑などをめぐり、選挙で推薦した日本維新の会が、9日に辞職を申し入れることがわかりました。

9日午後に党の執行部が発表し、県議たちが辞職と出直し選挙を求めて申し入れをするということです。

■元西播磨県民局長が「パワハラ」などの疑惑記載した告発文を配布

ことの発端となったのは、ことし3月、元西播磨県民局長が一部の報道機関などに、知事の「パワハラ」や「おねだり」といった疑惑を記載した告発文を配布し、翌月に県の公益通報窓口に告発しました。

斎藤知事は当初から、告発文について「嘘八百」などと否定し、元県民局長は県の内部調査を経て懲戒処分されました。

しかしその後、事実が含まれることがわかり、告発文の真偽について調査する百条委員会が設置されていました。


■告発は「公益通報」か 専門家は「要件満たす」 知事「誹謗中傷性高い」

百条委員会では、告発の真偽とともに、元県民局長の告発が「公益通報」に当たるかどうかについても調査が進んでいます。

公益通報者保護法では、組織や企業の中で不正を発見し、それを通報した人物=「公益通報者」に対し、通報したことを理由に、解雇や降格など不利益な取り扱いを禁止することが定められています。

今月5日の百条委員会では、公益通報の専門家・上智大学の奥山俊宏教授が、元県民局長の告発は「公益通報の要件を満たしている」と指摘し、公益通報として保護しなかった県の対応は「公益通報者保護法に違反する」と断言していました。

これに対し、斎藤知事は自身2度目となった6日の証人尋問で、「告発というよりも誹謗中傷性の高い文書だと思いましたんで、文書を作成した人を内容の意図も含めて聴取することは問題ないと思っています」と述べ、元局長の告発は「公益通報」には当たらないという認識を改めて示していました。

そして「県としてこれまで懲戒処分に関することは法的にも問題なく、手続き等に瑕疵はない」と断言していました。

■注目された維新の動向 ついに「辞職申し入れ」へ

百条委員会が進む中で注目されていたのが、知事を選挙で推薦した日本維新の会の動向でした。

先月27日には、吉村洋文共同代表が斎藤知事について、「辞職勧告や不信任決議も検討するのか?」と記者団に聞かれ、「当然その可能性はあり得るということです」と踏み込んだ発言をし、先月31日には、神戸市で開いた会合後に、藤田文武幹事長が、6日の証人尋問を踏まえて今後の対応を判断すると明かしていました。

そして日本維新の会は9日に知事に対して、辞職を要求する方針を固めました。

「百条委員会での説明が県民の納得するものとは言い難い、県政に支障が出ているなど」と理由について説明していて、9日午後、党の執行部が発表するほか、県議たちが辞職と出直し選挙を求める申し入れをするということです。

選挙で推薦を受けた維新が辞職を求めることで、これまで繰り返し辞職を否定してきた斎藤知事が、進退についてどう判断するのか注目されます。

■6日には兵庫県議会の自民党が「12日辞職申し入れ」を決定

県議会では、最大会派の自民党が今月12日に辞職を申し入れることを決めていて、公明党や、立憲民主党などで作る会派に共産党も加わる方向で調整が進んでいます。

また第4会派の県民連合は、次の県議会で不信任案を提出する方針を固めていました。

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