自民党本部=曽根田和久撮影

 公職選挙法違反で有罪が確定した柿沢未途元衆院議員(自民党を離党)の辞職に伴う衆院東京15区補欠選挙(16日告示、28日投開票)を巡り、自民党は12日、無所属で出馬を表明した作家の乙武洋匡氏への推薦を見送ると発表した。

 東京15区とともに島根1区、長崎3区で実施される衆院3補選は、今後の岸田文雄政権の行方を占う試金石となる。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り、逆風下の自民が公認候補を擁立するのは島根1区のみ。東京15区と長崎3区は擁立も相乗りもしない不戦敗となることが決まった。

 自民は小渕優子選対委員長名のコメントで「本日までに(乙武氏)本人から推薦の要請がない。選挙区である江東総支部から、党としての推薦を出さないでほしいとの要望があがっている」と理由を説明した。

 乙武氏は小池百合子東京都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が国政進出に向け設立した政治団体「ファーストの会」が擁立した。自民は乙武氏から依頼があれば推薦する方向で調整していたが、乙武氏は11日、自民、公明両党への推薦依頼について「出す予定はない」と明言していた。

 公明党の石井啓一幹事長は12日の記者会見で、「(各候補予定者から)特段アプローチがないので静観している」と述べた。

 一方、都民ファーストの会とファーストの会は12日、乙武氏の推薦を正式に決めた。【竹内望、野間口陽、白川徹】

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