立憲民主党代表選に向けた政策を発表する野田佳彦元首相(5日、国会内)

立憲民主党の野田佳彦元首相は5日の記者会見で、立候補する党代表選(7日告示―23日投開票)で公約とする政策を発表した。政治改革の推進や格差の是正を柱に据えた。自民党派閥の政治資金問題を念頭に「汚れた政治のうみを出し尽くさなければならない。政権交代こそが最大の政治改革だ」と強調した。

発表した政策資料には政治資金規正法を再び改正し、政策活動費や企業・団体献金の禁止、政治資金の収入の監査義務化などを実現すると明記した。国会議員の世襲の制限や被選挙権年齢の引き下げ、定数削減も盛った。

企業・団体による政治資金パーティー券の購入禁止を掲げる半面、個人献金を促進するために「個人が買うのはいいのではないか」と説明した。

立民は先の通常国会で政治資金パーティーを禁止する法案を提出した。所属議員がパーティーを開催し続け、他の野党から「一貫性がない」と批判が出ていた。

野田氏は2011〜12年の首相時代に掲げた「分厚い中間層の復活」を改めて強調した。直近の1世帯あたり平均所得金額が減少傾向だと指摘し「格差は拡大し、中間層からこぼれ落ちる人が多くなっている」と主張した。

「給付付き税額控除」の導入や保育、介護などの従事者の待遇改善をめざす。教育無償化の対象拡大なども触れた。

消費税率の引き下げについて、財政や医療や子育て支援サービスの充実を踏まえ「軽々に言うことは慎重にならざるを得ない」と説いた。同時に「下げる議論があってもいいと思う。党内で丁寧に議論して色々な意見を聞きたい」と言及した。

発表した政策綱領は「政権交代前夜」と題し、次期衆院選での政権交代をめざすと強調した。国民民主党や日本維新の会など他党との連携を模索する。政治資金問題で自民党から支持離れした保守層の取り込みを狙う。

防衛費増額に伴う増税は「使途を精査し防衛増税はしない」と明記した。

野田氏は集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法について「違憲だ。党方針にある違憲部分の廃止を含めて検討する」と言明した。憲法改正は政策綱領で言及しなかった。「いま憲法を一番の争点にするのはどうかと思う」と答えた。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。