中国の趙楽際・全人代常務委員長(右端)と会談する日中友好議員連盟の二階俊博会長(左端)ら(28日、北京の人民大会堂)=代表撮影

日中友好議員連盟の二階俊博会長(自民党元幹事長)は28日、北京の人民大会堂で中国共産党序列3位の趙楽際(ジャオ・ルォージー)全国人民代表大会常務委員長と会談した。今回の訪中で習近平(シー・ジンピン)国家主席と面会する機会はない見通しとなった。

中国は9月の自民党総裁選を前に日本の政権移行の行方を注視する。新しい首相の対中政策を確認してから日本との向き合い方を決めていくとみられる。関係改善は足踏みが続き、今秋の開催を目指す日中首脳会談も現時点で見通せない。

二階氏は28日、中国外交担当トップの王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相とも会談した。

二階氏は中国と独自のパイプを持ち、2023年4月に日中友好議連会長に就いた。19年4月には当時の安倍晋三首相の特使として訪中し習氏に親書を渡した。

今回はおよそ5年ぶりの面会を探ったがかなわなかった。二階氏らの出発前日の26日には中国軍機が初めて日本の領空を侵犯した。

二階氏によると、趙氏に日本人の短期滞在ビザ(査証)の免除措置の早期再開を要望した。趙氏は「日本の各界の要望は尊重し重視している」と前向きな反応を示した。

中国は新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込める「ゼロコロナ政策」を23年1月に終えた後も日本向けの免除措置を再開していない。

中国が反発する東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出については進展がなかった。趙氏は従来の中国の立場を繰り返すにとどめた。

日中友好議連として5年ぶりの訪中を巡り、関係改善への機運につながるとの期待があった。

そんな雰囲気に水を差すように中国軍機による領空侵犯が生じた。防衛省では岸田文雄政権が進めた日米防衛強化の取り組みへの圧力だとの見方がある。

日中両政府は秋の国際会議にあわせて首相と習氏との首脳会談の開催を模索してきた。日本側は首相が代わっても日本産水産物の禁輸措置や邦人拘束の問題などについてトップ同士で話し合って打開を目指すべく準備を進める。

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