総勢11人が立候補に意欲を見せ、乱戦となりそうな自民党総裁選。

22日放送の関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」にコメンテーターとして出演したジャーナリストの辛坊治郎氏は「小泉進次郎氏が勝つ可能性があるが、自民党の右派・タカ派からは徹底的に嫌われている。決戦投票になったらわからない」と分析しました。

■戦後最年少の首相誕生の可能性

自民党総裁選を巡っては、菅前首相が支援する意向で、政界のサラブレットとして知られる小泉進次郎元環境相と東大法学部を卒業、ハーバード大学への留学経験があり、元財務官僚の小林鷹之前経済安保相(49)が注目を集めています。

2人はいずれも40代で、戦後最年少の首相となる可能性があります。

■高市氏や上川氏も立候補に意欲

このほかにも、小林氏と保守票の奪い合いとなる可能性が指摘されている高市早苗経済安保相(63)や、上川陽子外相(71)、石破茂元幹事長(67)、河野太郎デジタル相(61)なども立候補に意欲をみせています。

■小泉氏の被災地での活動を評価「相当行動力がある」

辛坊治郎氏は小泉進次郎氏について自身の体験から「相当行動力がある」と評しました。

【辛坊治郎氏】「小泉進次郎さんに関してはかなりバイアスがかかっていると思うんですよ」

「東日本大震災があった2011年、週刊誌で連載を持っていたんですが、ある日突然電話がかかってきて、出たら『小泉進次郎』ですと。本人だったんですよ」

「どうやら、私の週刊誌の連載を読んで感動した小泉さんが人づてに私の番号を探り出して、突然電話をかけてきて『被災地とつないでほしい』と言うから、私が福島の放送局の人間とつないだんですよ」

「そしたらそれ以降、小泉さん福島の放送局の伝手を頼って何回も被災地に入りをしているんで、その福島の友人から『あの男は大したやつだぞ』っていう評価を私のところにもらいましたんで、だからかなりバイアスはかかっているんですよ」

「相当行動力がありますよ。だって私の電話番号ってほんとに誰も知らないですから。よく探り当てたなって感じです」

■「自民党総裁選は一般国民は投票できない。石丸現象起きない」小林氏は厳しい戦いに

Q.小泉氏が勝つ可能性はありますか?

【辛坊治郎氏】「(勝つ可能性は)あります。とにかくね、小林さんに関して言うと、石丸現象を起こせるかっていう東京都知事選の」

「ところがですね、石丸さんと決定的に違うのは、投票できるのは国会議員と党員、党友だけで一般国民じゃないですからね」

「党員、党友って圧倒的に年齢層高いですから、インターネット中心の石丸現象みたいなものが起きづらいですよ」

「意外とメディアも取り上げますから、それなりに名前は浸透してくるでしょうけども、だけど1カ月後の投票に間に合うか?っていう話なんで、だから早めに(小林氏)は名乗りを上げたんです。けれど、間に合わないんじゃないかと思います」

■「みんな口を揃えて『嫌なやつだ』」党内から不人気の石破氏

Q.国民人気は高いが党内の支持基盤が弱いとされる石破氏については

【辛坊治郎氏】「国会議員の多くの人に聞くと、みんな口を揃えて『嫌なやつだ』って言います。そういう気持ちもわかります。身内に後ろから弾を撃つようなことを言うわけです」

■「小泉氏は右派・タカ派から嫌われている」「決選投票で保守票が一本化すると結果はわからない」と辛坊氏

Q小泉氏を今後の選挙の顔として担いでいこうという動きはあるのか?

「政策的に言うと、いわゆる自民党の右派・タカ派からは、徹底的に小泉進次郎さんは嫌われています。それははっきりしています」

「自民党の右派・タカ派は、小林さんと高市早苗さんが立候補されることになったんで、ここは票が割れると思います」

「ただし票が割れてもね、1回目の投票でどっちかが残った場合に、2回目の投票は議員中心になりますから、決選投票で票がまとまる可能性があります」

「だから小泉さんが確実に勝ちたいと思うなら、1回目で過半数制圧して、地方票を中心にして、それで突破しないと、2回戦にもつれこんで、決選投票になった場合に、自民党右派保守票みたいなものが、高市さんと小林さんが残るとどっちかに『ガッ』と一本化すると(結果は)見えなくなりますね」

小泉進次郎氏について辛坊氏は、5段階で『経験・3』『外交力・3』『刷新感・4』 『国民人気・4』『議員人気・2』と分析している。

【辛坊治郎氏】「国民人気は高いですが、右派・タカ派からは徹底的に嫌われていますから、議員だけの決選投票になったら(結果は)ちょっとわかんなくなりますよ」

「経験なんてものはね、役職が人をつくるという言葉がありますから、やってみないとわかんないですね。外交力は少なくとも英語ができますから」

■「経済政策でタカ派と意見異なる小泉氏」総裁への道を阻まれる可能性

辛坊氏は「経済政策に関して意見の異なるタカ派によって小泉氏は総裁への道を阻まれるかもしれない」と指摘します。

【辛坊治郎氏】「安倍派を支えた人たちを中心に自民党右派・タカ派の経済政策は、とにかく財政出動で国債をどんどん発行してお札を刷って、それを使うことによって景気をよくするという立場なんです」

「自民党って両方いるんですよ、右と左と」

「逆にそれ(財政出動)をしすぎると、円の価値が落ちてインフレになるし、為替も円安に振れると物価が上がってくるという」

「小泉氏は基本姿勢としては入ってくる税金の中で政治はやるべきだという、どちらかというと自民党タカ派・右派とは違う」

■選挙の顔として選ばれた場合、タカ派が倒閣運動の可能性も

「自民党右派・タカ派はそういう攻撃をずっとしてくるでしょうし、そこ(経済政策)がメインのテーマになるぐらい本格論戦になればいいですが、その一歩手前ぐらいで、もう政策も何も違うけれども、次の選挙で負けそうだから、あと1年以内に確実に衆議院選挙があるから『選挙で勝つには小泉がいいだろう】っていうようなところで決まっていく」

「そうする(政策ではなく選挙の顔になる人物を総裁にする)と、あっという間に、(小泉氏は)総理大臣をクビになる可能性もあるし、クビにならなければ、やりたいことがやれずにボロボロになる可能性もあります。(小泉氏が総裁に)なったらなったで大変だと思う」

■「防衛費に関して慎重姿勢だと右派・タカ派ににらまれる」と辛坊氏

【辛坊治郎氏】岸田さんも総理大臣になる直前ぐらいから、なった後ぐらいまで、自民党の右派・タカ派に「ガーッ」と擦り寄っていきました」

「だから消費増税で、気がついてみたら、防衛費倍ですから」

「来年度予算は、12月にならないとはっきりした数字は出てきませんが、今までの倍ですからね防衛費」

「それはやっぱり国防というキーワードでましたが、自民党の右派・タカ派は、必要だろうという人が多いですけど、ただ、そのあたり(防衛費)はもしかすると(小泉氏)は慎重かもしれないですね」

「そのあたり慎重だということになると、自民党の右派・タカ派からはかなりにらまれるでしょうね」

「(小泉氏)はかっこいいことばっかり言うというイメージがついてますから、だから世論的にも5段階の5にせずに4にしたのは、やっぱり1割ぐらい「こいつ、レジ袋有料化しやがって」と言う人もいますからね」

候補者乱立の様相を見せる自民党総裁選は、来月12日に告知、27日に投開票されます。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」2024年8月22日)

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