自民党の石破茂元幹事長=衆院第2議員会館で2024年5月8日、宮間俊樹撮影

 自民党の石破茂元幹事長(67)は18日、9月に予定される自民党総裁選への出馬表明を今週中にも行う意向を、東京都内で記者団に表明した。石破氏の総裁選挑戦は2020年に続く5回目となる。報道各社の世論調査で「次の首相にふさわしい人」の首位に選ばれ続けるなど、国民人気の高い石破氏が立候補すれば、党員・党友票を中心に総裁選の行方に大きな影響を及ぼす可能性がある。

 石破氏はフジテレビ番組に出演後、記者団から「早ければ週内にも出馬表明か」と問われ「そうありたいと思っている」と語った。かねて出馬をする場合は地元・鳥取で表明したいと語ってきたことについては「38年間支えて、自分を今の立場にしてくださった方々に言いたいとの思いはすごくある」と述べた。

 石破氏は、番組では出馬に必要となる20人の推薦人の確保について「(めどは)ほぼつきつつある」との認識を示し、「新しく出馬表明された方もある」と言及。推薦人の最終的な確認作業を「そんなに時間をかけないでやらないといけない」と語った。自身が首相・総裁になることで、実質賃金の引き上げや防災省の創設に取り組みたいとの意欲も示した。

 もの言う政治家として知られる石破氏は、毎日新聞の6月世論調査で「次の首相にふさわしい人」の首位になるなど国民的な人気を誇る。「政治とカネ」を巡って自民に強い逆風が吹く中、党内の一部からは9月の総裁選直後との観測が強まる衆院解散・総選挙の「顔」として出馬に期待する声が上がっている。石破氏は「脱派閥」が求められる今回の総裁選で、政治改革だけでなく、得意とする安全保障や防災、地方創生などの政策論争で存在感を発揮したい考えだ。

 石破氏は課題となる国会議員票の確保に向けて、7月に二階派の武田良太元総務相とともに菅義偉前首相と会食するなど、非主流派に影響力を持つ菅氏との連携を視野に入れてきた。ただ、菅氏は加藤勝信元官房長官(68)や小泉進次郎元環境相(43)の支援に傾いているとされ、関係構築に進展はみられていない。

 石破氏は、前回21年の総裁選では「小石河連合」として、小泉氏とともに河野太郎デジタル相(61)を支持。石破氏は同じ「改革派」として「また3人で話をする機会もあるだろう」と連携に期待をにじませてきた。ただ、河野氏は既に出馬の意向を固めており、票を奪い合う構図となりそうだ。

 石破氏は慶応大卒で、1986年衆院選で初当選し、現在12期目。防衛相、農相、地方創生担当相、自民党幹事長などを歴任した。

 今回の総裁選を巡っては、小林鷹之前経済安全保障担当相(49)が19日に記者会見を開き、最初の立候補表明となる見通しだ。林芳正官房長官(63)、加藤氏、河野氏も立候補する意向を固めるなど、10人以上が立候補に意欲を示す乱立模様となっている。【川口峻】

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