自民党本部=東京都千代田区で、平田明浩撮影

 9月に予定される自民党総裁選は、10人前後が立候補に意欲を示す乱立模様となっている。小林鷹之前経済安全保障担当相(49)が19日に記者会見を開き、最初の立候補表明となる見通しだ。林芳正官房長官(63)、加藤勝信元官房長官(68)、河野太郎デジタル相(61)も立候補する意向を固めた。これまで2008、12年に各5人が出馬したのが最多だが、岸田文雄首相の再選不出馬を受け、各議員の動きが活発化している。

 小林氏は、党の「刷新」を求める安倍派などの当選4回以下の議員に加え、所属する二階派や麻生派の一部から支持される。他候補に先んじての表明について、小林氏支持の議員は「二階俊博元幹事長も了承済みだ」と話す。活動期間を長く確保することで知名度不足を克服し、党員票獲得に向けて浸透を図る。

 これに対し、岸田派ナンバー2の座長だった林氏は防衛相、外相などを務めた政策通で、岸田派を中心に「ポスト岸田」に推す声が高まっていた。既に首相らに出馬の意向を伝えた。

 加藤氏は16日夜、BS11の番組で「総裁選に向け具体的な動きをしていきたい」と述べ、出馬の意向を明らかにした。菅義偉内閣で官房長官を務め、今回の動きも非主流派に影響力を持つ菅氏の意向を受けたものとみられる。同じく菅氏に近い小泉進次郎元環境相(43)は、現時点で対応を明言していない。

 また、河野氏は16日、麻生太郎副総裁と東京都内で会談した。関係者によると、麻生氏が出馬を了承したことから、週内にも立候補を表明する調整に入った。

 岸田派所属の上川陽子外相(71)も、出馬に必要な20人の推薦人確保に向けた準備に着手した。だが、岸田派内では林氏を推す声が強く、脱派閥で支持を広げられるかが課題となる。

 総裁選は9月12日告示、27日投開票の日程が有力で、20日の総裁選挙管理委員会で決定する。【野間口陽、鈴木悟、加藤明子】

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