兵庫県の元幹部職員が知事のパワハラ疑惑などを告発した問題をめぐり、県の人事課が別の職員の私物のスマートフォンを調べていたことが分かりました。

死亡した元西播磨県民局長(60)はことし3月、斎藤知事のパワハラ疑惑などを告発する文書を配布しました。

県の人事課は元局長の公用パソコンなどを調査した結果、告発文は「事実無根」と判断し、元局長を懲戒処分としました。

関係者への取材で、当時の総務部長と人事課の職員が、別の幹部職員に対し、調査の目的や根拠を説明せず、私物のスマートフォンを見せるよう迫り、SNS上での元県民局長とのやりとりを確認していたことが分かりました。

幹部職員は、要求に応じてSNSの履歴を見せたということですが、その後、文書の作成に全く関与していなかったことが分かっています。

人事課は「別の職員を調査したかは差し控えるが、一連の調査は適正だった」としています。

これについて斎藤知事は7日の会見で、記者からの質問に次のように答えました。

【兵庫県 斎藤元彦知事】「『しっかりと調査するように』とは指示しましたが、具体的な調査内容までは指示していない」

(Q.私物のスマートフォンのSNSの履歴を見るという手法は適切と思うか?)
【兵庫県 斎藤元彦知事】「一般的に任意での開示依頼に対して、相手方が協力的に調査に応じた場合は、調査手法として法的に問題はないと考えております」

■人事課による『職員の私物スマホ』調査に問題はないのか?

人事課が私物のスマートフォンを見せるよう要求したことに問題はなかったのでしょうか。

【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「調査の“任意性”がどこまであったかがポイントだと思います。複数の弁護士に聞いたところ、やはり私物のスマートフォンを見るという行為は、『明らかにプライバシーの侵害に当たる可能性がある』ということを指摘する方もいました。
 県として形式上は『これは任意です』と言ったとしても、言い方によるのではないでしょうか。事実上、拒否できないような状況でスマートフォンを見させられたのであれば、それは任意ではなく、強要に当たるとも言え、グレーなやり方であったと思います」

■「人事の中枢が私物の調査をするのはアウト、グレーじゃない」

これに対して、前明石市長で弁護士の泉房穂さんは、次のように話しました。

【泉房穂さん】「グレーじゃないですよ。人事権のあるところが、異動をさせられる立場の者に対してお願いするとか、事実上の強制です。人事の中枢がこんな私物の調査をするなんてアウトであって、グレーじゃないですよ」

斎藤知事は7日の会見で「問題ない」との認識を示しました。

【泉房穂さん】「知事のおっしゃることは、ちょっと理解しがたい方なので、すみませんがコメントに値しないですね」

【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「『そもそも公益通報ではない』と知事は言っていますけれども、公益通報と認定されていたら、通報者を特定しようとする、いわゆる“犯人捜し”自体も違法性があるんです。そのあたりを捉え間違えていると言えるんじゃないかと思います」

■県政の停滞を打開するには「『県民のリコール』か『県議会の不信任決議』」と泉房穂氏

8月30日の百条委員会で斎藤知事が証人尋問を受けることになります。

【泉房穂さん】「百条委員会そのものは議会として設置することはありですし、調査も必要ですけど、残念ながら百条委員会をしたからといって全ての事実が明らかになるわけでもない。あと法的な問題だけじゃなくて、県政が停滞すると県民生活、市民生活に影響が及びますから、そこをどう解消するか、停滞をいかに打開するかという論点もあります。百条委員会をやっている間に県政が停滞するのは問題です」

【泉房穂さん】「私としては、こうなったら本当に打開できるのは2種類しかなく、ひとつは『兵庫県民のリコール』で、大体66万人ぐらいの署名が必要ですが、県知事に対するリコールが成立すれば、住民投票の過半数で知事の失職に至ります。もうひとつは『県議会の不信任決議』で、県議会の3/4以上で賛成して不信任決議をする。ただこの場合は知事が議会の解散をできますけど、解散した後また改めて過半数で不信任にすれば知事は失職になります。法的にはこの2つの手続きがありますから、この辺りも検討する段階だと思います」

県議会議員としては、不信任決議も選択肢としてはあるのだけれども、まずは百条委員会で真相解明を図りたいと言っています。

【泉房穂さん】「これは両立するものです。県政が停滞している責任というのは、政治責任ですから、法律違反かどうかとかは別問題なので、不信任をしつつ、かつ百条委員会を継続すればいい。別に知事が再度出馬したって構いませんし、知事が辞めた後だって百条委員会はできるんです。矛盾しないと思います。県政を打開できる一番の方法は県議会における不信任だと私は思います」

【泉房穂さん】「ただ県議会議員も自分が選挙になるのは嫌なので、本音のところは不信任するともしかしたら自分の選挙になりそうだということで、辞職勧告決議ぐらいでお茶を濁したような対応になる可能性はゼロじゃないと思います」

例えば泉さんが市長を取りまとめて動きを見せるといったことはないのでしょうか?

【泉房穂さん】「そこまで力もありませんけど、ただ私も兵庫県民ですし、兵庫県政をしっかりしてほしいという思いを持っています。ある意味、選挙は大事ですから、いずれ来年の7月末で任期が終わりますので、ちゃんと県民の立場になった知事が選ばれるように私も努力したいとは思います」

(関西テレビ「newsランナー」 2024年8月7日放送)

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