8月7日の雨は、違法な状態が続き、崩れる危険性のある福島県西郷村の盛り土にも強く打ち付けていた。
近くで暮らす住民が不安な日々を過ごす中、福島県が6日決めたのが一部の撤去だ。

福島テレビ・浅野晋平記者:「20メートルほどの高さに造成されたこちらの盛り土。近くには住宅や道路があり、危険な状態です」

<近隣住民の不安>
西郷村真船に造成された約4万トンの盛り土・盛土。そのすぐ近くの住宅で60代の男性は家族3人で暮らしている。
60代の近隣住民は「盛土は私の家のすぐ近くです。園庭から10メートルもない所からあれだけの高さで積み上げられています」と話す。
崩れる危険性があることから、男性は大雨などの際、村営住宅への避難を余儀なくされている。

<福島県が代執行による撤去を決定>
不安な日々が続くなか、福島県が6日公表したのが“行政代執行”。
改善命令に従わなかった盛り土を造成した埼玉県の男性2人に代わり、一部を撤去することを決めた。盛土規制法に基づく行政代執行は県内で初めてのことだ。
60代の近隣住民は「県の方で、早急な形で行政代執行をしてくれるという事で、大変嬉しい限りです」と胸をなでおろしている。

<西郷村も県の方針を歓迎>
福島県の方針に西郷村の担当者は…。
西郷村建設課・山根優管理係長は「災害防止措置が講じられることは、隣接住宅の住居者の安全が図られ、村としても一安心しているところです」と話す。

福島県は盛り土の高さを15メートルほどに低くするなど対策を講じる予定で、8月中の着手を目指している。
また、盛り土を造成した男性2人の刑事告発も検討している。

<行政代執行とは?>
「行政代執行」は法律に定められたもので、命令に応じなかった場合、他の手段でその履行を確保するのが困難で、その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められる時に行うことができる。
例えば、不衛生な空き家が放置されている、産業廃棄物が不法投棄されているなど、「改善するよう求めたのに応じないので現場の改善を優先する」というものだ。

今回のケースも、これまでに県が改善命令を出していたものの、これに従う見込みがないと判断されたことから「災害の発生防止や人命を優先する」として、代執行が決定された。

<代執行の工事費用どうなる?>
代執行にかかる2億5千万円あまりの公費は、私たちの税金が原資。福島県はこの費用について、盛土を造成した男性たちに支払いを求めることになるが、これまでに実施したことがある盛土以外の代執行では、対象者に支払い能力がない、連絡が取れなくなったなどの理由で回収できないケースもあったということだ。

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