自民党の憲法改正実現本部の会議で発言する岸田文雄首相(奥左から2人目)。奥左は茂木敏充幹事長、同3人目は古屋圭司本部長、右端は麻生太郎副総裁=同党本部で2024年8月7日午前11時22分、平田明浩撮影

 岸田文雄首相(自民党総裁)は7日、党憲法改正実現本部で「憲政史上初の国民投票にかけるなら、緊急事態条項と合わせ、自衛隊の明記も含めて国民の判断をいただくことが必要と考えている」と述べ、憲法9条への自衛隊明記に意欲を示した。首相は自衛隊明記について「論点整理は8月末を目指して議論を加速していただきたい」と指示した。9月の総裁選に向け、保守層にアピールする狙いがあるとみられ、党内には「出馬意欲の表れ」との見方が広がった。

 7日の実現本部は、緊急事態条項の創設と自衛隊の明記について検討する二つのワーキングチーム(WT)を新設することを決定。首相は自衛隊明記について「いかなるときも国民の命や身体や自由を守るという国家の最も重要な責務について、最高法規にしっかりと明記をすることは、緊急事態条項とともに大変重要な課題だ」と意義を強調した。

 これまで衆参の憲法審査会では、大規模災害などの緊急事態が起きた際、国会議員の任期延長を可能とする緊急事態条項の創設について、与野党が現実的な改憲項目として議論を進めてきた。ただ、総裁選への出馬が取り沙汰される石破茂元幹事長や小林鷹之前経済安全保障担当相は9条改正に言及している。首相も9条改正への意欲を示すことで、見劣りを避ける狙いがあるとみられる。

 首相に近い閣僚経験者は「再選に向けた一つの戦略だろう」と指摘。「再選すれば、衆院解散前に改憲を国民投票で問うということだ。国民投票の時期は早くて来年4月だろう」と解説した。【園部仁史、遠藤修平】

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