兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を告発され、県職員や知事選挙で支援を受けた自民党からも辞職を求める声が上がっている問題。

橋下徹氏は、斎藤知事について「問題なのは、(告発文の詳細な調査前の)初動の段階で『嘘八百』、『事実無根』と発言を封じたこと」と指摘し、「民主国家でやってはいけない政治権力の行使だ」と批判しました。


■橋下徹氏「反対者つぶすのは中国とかロシアと同じ」と斎藤知事の対応を批判

31日、関西テレビの「旬感LIVE とれたてっ!」にコメンテーターとして出演した橋下氏は、兵庫県の斎藤知事がパワハラなどの疑惑を告発された問題に関するニュースに触れて、告発をめぐる斎藤知事の対応を批判しました。

「パワハラ疑惑とおねだり疑惑は事実であったとしても、この事実だけでは知事を辞めるような事情にはなりません。おそらくならない。
問題なのは、斎藤知事の『嘘八百』発言、それから『事実無根、公務員失格』という発言。危険性を感じないといけないのは、知事に対して反対する者に対して、『嘘八百』だとか『公務員失格』って言って、つぶそうとするっていうのは、中国とかロシアがやっている政治権力の使い方と同じなんですよ。
それはちゃんと(告発文について)調査をして、『ダメなものはダメ』とか、言論で『ここは違う、そこは違う』ってのはいいけれども、(詳細な調査をする前の)初動の段階で、『公務員失格』、『嘘八百』と、相手の発言を封じ込めるっていうのは、本当にこれは絶対やっちゃいけない政治権力の行使で、維新も馬場さんもそこの危機意識が足りないですね」と述べました。


■選挙で斎藤知事を推薦した維新・馬場代表の発言についても橋下さんが指摘

日本維新の会の馬場代表は28日、取材に対して「疑惑が事実であれば、しかるべき判断をするよう知事に直接話す」と発言したほか、告発した元県民局長の懲戒処分については、「県の懲戒規定に基づいていれば問題ない」とする見解を示していました。

橋下氏は「馬場さんたちが言っている言い分としては、知事や市長に反発する職員が出てくる。改革しようと思ったときに職員が嫌がることを僕もやりましたから。その時に職員が告発文などいろいろなものを出して、抵抗するのを『そのまま認めていいんですか?』と馬場さんは言うわけですよ。事実をしっかり見ないといけないというのはその通りなんですけど、その話以前に告発文を『嘘八百』、『公務員失格』とつぶしたことが問題」と指摘しました。

■橋下氏「事実がたくさんあった。斎藤知事はわかっているのに通報封じ込め」

また斎藤知事について、「本当に事実無根だったら、僕はぎりぎり『嘘八百』という言葉はあるのかなと思う。
僕の(大阪府知事だった)ときも、僕のミスをいろいろなものをあげつらって、僕の不祥事を公にしようということはありました。
でもこれが事実無根なら、対抗しないといけないから事実無根と言うことはありなんですが、今回は事実無根じゃないでしょう。
事実がたくさんあったわけですよ。斎藤知事はそれをわかっているはずなのに、『事実無根だ』と通報を封じ込めようとしたのは、本当に民主国家ではやってはいけない権力行使」と重ねて批判しました。

■斎藤知事は当初告発文に対し「嘘八百」「事実無根」と否定

斎藤知事に対する疑惑が発覚したのはことし3月。
元西播磨県民局長(60)が、斎藤知事のパワハラや物品をねだった疑惑などを告発する文書を一部の報道機関などに配布しました。

それに対し、知事は当時次のように発言し、元県民局長を強く批判していました。

【斎藤元彦・兵庫県知事(3月)】「事実無根の内容が多々含まれている。業務時間中に嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員として失格です」

この会見などを受け、元県民局長は県庁内に設置された窓口に公益通報したものの、ことし5月に告発文は「核心的な部分が事実でない」として停職3カ月の懲戒処分を受けました。

■一部の疑惑が『事実』と判明 側近が相次いで『辞職』『降格申し出』

しかしその後、一部の疑惑が事実だったことが判明。
告発を調査するための百条委員会が設置されましたが、今月7日、元県民局長が死亡しているのが見つかりました。自殺と見られます。

元県民局長は「死をもって抗議する」という主旨のメッセージとともに、斎藤知事が上郡町の特産品のワインを求めた発言とみられる音声データを残していました。

【斉藤知事とみられる音声】「ワイン、私飲んでないので、ぜひまた。この間、いちごと…塩はあれですけど…折を見て、よろしくお願いします」

知事はワインの受け取りについて認め、当初は完全否定していた様々な疑惑が事実だったと判明する事態となっていました。

また告発文で言及されていた県の元総務課長が死亡し、自殺とみられているほか、側近の副知事が31日で辞任、理事が8月1日付で降格となるなど、斎藤知事にとって苦しい県政運営が続いています。

(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」 2024年7月31日放送)

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